2016 Fiscal Year Research-status Report
瘢痕拘縮抑制効果を示す自己治癒誘導型接着性多孔膜の開発
Project/Area Number |
16K11755
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
岐部 俊郎 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 助教 (50635480)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 典史 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (60217875)
岸田 昭世 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (50274064)
田口 哲志 国立研究開発法人物質・材料研究機構, バイオ機能分野, MANA研究者 (70354264)
渕上 貴央 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (40772439)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 瘢痕拘縮 / 筋線維芽細胞 / 創傷治癒 / 被覆材 |
Outline of Annual Research Achievements |
口蓋形成術を含む口腔顎顔面領域の手術術後の上皮欠損または、創部の瘢痕収縮によって生じる顔貌の変形や発育障害を防止するために、複数の創傷被覆材の治癒過程を解析した。ラットを用いた動物実験を行い、ラットの背部に上皮欠損を作成し、同部に創傷被覆材を貼付した後に、ラットジャケットを装着させ、0、4、7日目の創部を観察し、組織サンプルを回収した。。その組織サンプルから、組織観察用の切片を作成し、組織学的観察を行った。すると、ポリグリコール酸(PGA)由来のネオベールでは初期の瘢痕収縮を抑制する効果が認められるとともに、瘢痕収縮の原因と言われているαSMA陽性細胞の発現を抑制する効果を認めた。しかしながら、創傷被覆材に浸潤する細胞数は、コラーゲン由来のテルダーミスで著名に多く、また、上皮新生も被覆材表面に沿って進展している様子が認められた。そのため、創部の陥凹が少ない結果となった。本研究の結果から、被覆材の種類によって、その治癒過程は異なっていた。創部に長期間残存していたポリグリコール酸(PGA)由来のネオベールでは、創部の瘢痕収縮の要因である筋線維芽細胞の発現を抑制し、瘢痕収縮を防ぐことができる可能性があることを示した。しかし、上皮はネオベールの素材の表層に新生することはなく、陥凹を認めた。そのため、瘢痕収縮抑制を目的とした新規材料には、これらの問題を解決する必要があると考えられた。この結果は国際誌に論文投稿し2017年に掲載された。これまでの研究結果を踏まえて、ゼラチンベースの新規被覆材を用いた動物実験を現在進行中であり、この材料の瘢痕抑制効果をさらに解析して、既存の被覆材を比較し新たなデータを検討することで、瘢痕拘縮を防ぐ新規被覆材の効果を実証し、国際誌へ投稿予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既存の被覆材を用いた実験データを解析した論文が国際誌へ掲載された。また、次の論文作成に向けたデータ作成も順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は新規被覆材を用いた、長期の動物実験をおこない、長期的な瘢痕拘縮への影響を検討する。
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Causes of Carryover |
本年度は、論文掲載が1件だったため論文投稿、掲載費用分がやや余った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
余剰金は、次年度の論文投稿掲載費用として、使用する予定である。
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Research Products
(1 results)