2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K11774
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
百田 義弘 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (60247880)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 虚血耐性 / 神経幹細胞 / 神経保護作用 / ペリサイト |
Outline of Annual Research Achievements |
CB17系統マウス一過性局所脳虚血モデルを用いて、虚血耐性獲得メカニズムを解明するにあたり29年度は、中大脳動脈致死的脳虚血負荷前に加える非致死的虚血負荷による神経細胞、グリア細胞、神経幹細胞の発現、とりわけ神経再生機転に主眼を置き検討した。両側頸動脈および、両側大腿動脈を一時的に血流遮断することにより神経細胞、グリア細胞、神経幹細胞の発現様式を観察した。両側頸動脈血流遮断時間は3分以上では呼吸停止により死に至る場合が多かったため2分以内とした。また、両側大腿動脈血流遮断時間は10分間とした。両側頸動脈遮断による前脳虚血負荷では、大脳皮質部および海馬領域においてもMAP2陽性神経細胞、GFAP陽性アストロサイトの脱落は観察されなかった。nestin陽性神経幹細胞については大脳皮質軟膜部にわずかに発現がみられた。PDGFRβ陽性血管周皮細胞の発現も観察されなかった。 これまで致死的虚血負荷による傷害が加わることで虚血負荷領域においてのみ神経幹細胞発現が亢進することを報告したが、両側頸動脈および大腿動脈血流遮断による非致死的脳虚血負荷のみでは神経再性能が亢進されないことが示唆された。この結果を踏まえ、両側頸動脈および大腿動脈血流遮断操作後に中大脳動脈血流遮断により致死的虚血負荷を加えた際の神経細胞、グリア細胞、神経幹細胞の発現を詳細に観察する。 さらに、脳保護作用の観点からアポトーシスの有無を検討するためカスパーゼの発現についても観察する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
虚血耐性能獲得に必要な非致死的虚血負荷を予め加えることによる神経再生機転については概ね順調に進展している。免疫組織化学染色による細胞発現形態について観察を行ってきたが現在はPCR法、ウエスタンブロット法さらに免疫電子顕微鏡観察を行うことを予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
両側頸動脈および大腿動脈血流遮断操作による非致死的な脳虚血負荷後に中大脳動脈に致死的虚血負荷を加えた場合の神経細胞、グリア細胞、神経幹細胞の発現を免疫組織染色により評価するとともに、Neurovascular Unitを中心に免疫電子顕微鏡観察により血管周皮細胞、血管内皮細胞、アストロサイトの発現形態を解析する。さらに、神経保護の観点からアポトーシスの有無についてCaspase発現を調べる予定である。
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Causes of Carryover |
(理由) 実験動物を使った継続的な実験、研究が必要であったため。 (使用計画) 実験動物、また実験に必要な消耗品を計画的に購入する予定である。
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Research Products
(2 results)