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2017 Fiscal Year Research-status Report

破骨細胞と骨芽細胞のクロストーク(骨カップリング)を標的とした新規歯周治療の開発

Research Project

Project/Area Number 16K11833
Research InstitutionThe University of Tokushima

Principal Investigator

稲垣 裕司  徳島大学, 大学病院, 講師 (50380019)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2019-03-31
Keywords歯周病 / 骨カップリング / 破骨細胞 / 骨芽細胞 / ephrin / 歯周炎モデルラット
Outline of Annual Research Achievements

平成29年度は、前年度に検討したin vitro実験系、すなわち破骨細胞(Raw264.7)培養系、骨芽細胞(MC3T3-E1)培養系および破骨細胞-骨芽細胞の共細胞培養系を用いて、骨カップリングファクターの発現を阻害する物質を探索した。その結果、漢方製剤で歯周炎に効能・効果があるとされている甘露飲エキス(α-MEM培地に対して0.01~1 mg/mlの濃度で検討)が、0.05 mg/mlの低濃度でRANKL誘導性(50 ng/ml)の破骨細胞分化を有意に抑制し、また破骨細胞の分化マーカーであるDC-STAMPやCathepsin Kの発現を抑制することを示した。さらにEphrin B2やSemaphorin 4Dなどの破骨細胞に特異的に発現する骨カップリングファクター、およびS1P合成酵素であるSPHK1も抑制することを示した。しかし0.5 mg/ml以上の高濃度では骨芽細胞の石灰化に対して抑制効果を示した。
次に歯周炎モデルラットを用いて、甘露飲エキスの歯槽骨吸収抑制効果を検討した。8週齢Wistar系雄性ラットを用い、甘露飲エキスを毎日経口投与(60 mg/kg)した投与群と非投与群に分けた。ラットの上顎右側第2臼歯をナイロン糸で結紮して片側に歯周炎を惹起した後、投与を開始した。結紮20日目に歯周組織を採取し、非結紮の左側第2臼歯を対照側としてマイクロCT解析を行い、両群の歯槽骨吸収レベルを比較した。その結果、投与群は、非投与群と比較して有意な歯槽骨吸収抑制が認められた(P<0.01)。また両群の末梢血と大腿骨を採取して解析したところ、投与群で血中NTx-1濃度の有意な低下を示したが、血中Osteocalcin濃度やBV/TV(骨密度)について両群間で有意な差は認められなかった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

前年度はマウス骨髄由来の破骨前駆細胞から成熟破骨細胞のみを単離して一定期間培養する方法を確立することに時間を要し、また安定した実験を行うことが困難であった。そのため、平成29年度では、破骨細胞はRaw264.7を、骨芽細胞はMC3T3-E1のセルラインを用いることにしたので安定した実験を行うことができた。さらに最終年度に検討する予定であった骨カップリングファクターの発現を阻害して歯槽骨吸収を抑制する物質を探索したところ、抗体、shRNA、siRNA以外の有力な候補物質を見付けることができた。

Strategy for Future Research Activity

平成29年度に骨カップリングファクターの発現を阻害し、さらにin vivoで歯周炎による歯槽骨吸収を抑制する有力な候補物質を見付けることができたので、引き続きin vitroで、ephrin A2、Eph A2、Semaphorin 3AおよびS1P受容体(S1P1やS1P2)などの骨カップリングファクターの発現に対する影響を調べる予定である。また平成29年度に採取した歯周炎モデルラットの歯周組織(組織切片)を用いて、局所での破骨細胞形成(細胞数)や骨カップリングファクターの発現を調べ、歯槽骨吸収の抑制メカニズムを検討する予定である。併せて骨カップリングファクターの発現に影響を及ぼし、歯周治療に応用できる可能性のある新たな候補物質を探索していく予定である。

Causes of Carryover

(理由)当初の実験計画を一部変更したため、購入予定していた消耗品(キットや抗体)を購入しなかったことと、既に保有していた実験器具・試薬や現有の設備(μCT装置や動物飼育施設)を用いることができたので、平成29年度は予想していた直接経費の支出を減じることになった。また当初計上していた旅費や謝金について、本年度は学会出張を国内の1回しか行わなかったので旅費が低く抑えられ、また大学院生への謝金も生じなかった。
(使用計画)主に破骨細胞や骨芽細胞の培養にかかわる培地、血清やその他の培養試薬、ウェスタンブロッティングに関わる試薬および検出用キット類などの消耗品を購入する。具体的には、破骨細胞と骨芽細胞の分化マーカーおよび骨カップリングファクターに対する抗体、培地に添加する試薬を購入する予定である。また引き続き歯周炎モデルラットを用いてin vivoで実験を行うため、ラットの購入および飼育に関する経費が必要である。さらに最終年度は国内および国際学会での発表を予定しているため、上記消耗品費に加え、経費として国内と国外への旅費が必要となる。

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Published: 2018-12-17  

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