2016 Fiscal Year Research-status Report
ブルーベリー抽出ポリフェノールを機能性食品として活用した口腔保健支援
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16K11860
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
日野出 大輔 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学系), 教授 (70189801)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉岡 昌美 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学系), 准教授 (90243708)
土井 登紀子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学系), 助教 (70747683)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 歯周病原細菌 / F. nucleatum / C. rectus / 口臭 / 揮発性硫黄化合物 / 喫煙 / 舌苔 / 舌清掃 |
Outline of Annual Research Achievements |
ブルーベリー抽出ポリフェノールの機能性食品としての応用に先立ち、研究の対象となる口腔細菌叢および口臭について健常者を非喫煙者と喫煙者に分けて調査した。徳島大学病院口臭外来受診者のうち,口臭検査、歯周組織検査および口腔衛生習慣に関する問診を実施し、本研究への同意の得られた37名を対象とした。口臭の原因物質である揮発性硫黄化合物(VSC)の測定にはガスクロマトグラフィーを用い、唾液及び舌苔中の細菌数はリアルタイムPCR法にて測定した。細菌数や口臭に影響する因子の分析にはSpearmanの順位相関係数検定または重回帰分析を行った。 喫煙者群(9名)と非喫煙者群(28名・元喫煙者を含む)の2群間で分析を行った結果、VSC量は喫煙者群のH2Sで有意に高い値を示した(p<0.05)。喫煙者群では、唾液中の総細菌数、歯周病原細菌であるFusobacterium nucleatumおよびCampylobacter rectus細菌数が有意に高く(p<0.05)、重回帰分析においても喫煙が口腔細菌叢に関与することが明らかとなった。しかし、各細菌数と歯周ポケットの指標との間に関連性は認められなかった。一方、舌清掃習慣のない21名の舌苔中の細菌数を分析した結果、喫煙者群では舌苔細菌の総数に占めるF. nucleatumおよびC. rectusの比率は3.03%および 0.60%と非喫煙者と値と比較しておよそ5倍高く(p<0.05),VSC量との間にも有意な正の相関が認められた(p<0.01)。上記の結果から、喫煙は歯周病原細菌の舌苔への定着を高め、VSC量の増加により口臭にも影響を及ぼす可能性が示唆された。 以上の結果を踏まえて非喫煙者のボランティア学生を選択し、舌清掃を中止して採取した舌苔由来細菌へのブルーベリー抽出ポリフェノールの影響について、現在調査を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究に賛同の得られたカナダの企業から、研究に用いるブルーベリー抽出ポリフェノール食品の供与を受けており、また、これまでの研究実績から、リアルタイムPCR法による舌苔中のF. nucleatum,C. rectusを含めた口腔細菌数の測定法を確立した。現在は、本研究に同意の得られた非喫煙者のボランティア学生を対象として、舌清掃を中止して採取した舌苔を検体として用いて、舌苔中の口腔細菌へのブルーベリー抽出ポリフェノールの影響について調査を進めており、本研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、進行しているボランティア学生を対象として採取した舌苔中の口腔細菌へのブルーベリー抽出ポリフェノールの影響に関する研究について、今年度も継続して遂行する予定である。一度に多数の対象者での口臭の測定を含めた細菌研究は実施できず、少人数での研究を繰り返す必要があるためやや時間を要するが、研究の遂行に大きな問題は生じないと考えている。
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Causes of Carryover |
平成29年3月22日~25日に米国・サンフランシスコにて開催された95th General session of the International Association for Dental Researchにおいて、研究補助の大学院生とともに研究代表者が本研究成果を発表した。年度末であったため、その際の旅費及び学会参加費等(それぞれ2名分)が3月中に支払処理が完了せず、翌年度(平成29年度)に持ち越して、会計処理されることとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
4月中に支払いが完了しており、当初予定していた研究計画の変更はない。
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Research Products
(8 results)