2017 Fiscal Year Research-status Report
ブルーベリー抽出ポリフェノールを機能性食品として活用した口腔保健支援
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16K11860
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
日野出 大輔 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学系), 教授 (70189801)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉岡 昌美 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学系), 准教授 (90243708)
土井 登紀子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学系), 助教 (70747683) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ブルーベリー抽出物 / キウイフルーツ抽出物 / Fusobacterium nucleatum / 生育抑制 / 揮発性硫黄化合物 / 口臭抑制 / CH3SH |
Outline of Annual Research Achievements |
口臭は、主に歯周病原性細菌によって生成される揮発性硫黄化合物(VSC)によって引き起こされるが、食品によっては、口臭抑制に有効であることが知られている。本研究では、キウイフルーツ抽出物とブルーベリー抽出物を用い、Fusobacterium nucleatum(Fn)によるVSC産生に対する阻害物質としての影響を調べた。 キウイフルーツエキス粉末は、江崎グリコ株式会社の健康科学研究所から提供され、ポリフェノールを多く含むブルーベリーエキス粉末はフランスのダイアナフード社から提供された。マイクロプレート希釈アッセイを用いて、Fnの増殖に対する物質の阻害濃度を決定した。VSC分析ではFn ATCC25586株を嫌気的に増殖させ、膜フィルター(直径13mm)上のFnバイオフィルムを調製した。それを抽出溶液またはPBS(対照)で前処理し、次いで膜を2mML-メチオニン溶液(3ml)に浸漬し、密封したチューブ中で37℃で20分間インキュベートした。その後、チューブ中のCH3SH生成物をオーラルクロマにより測定した。分析の結果、キウイフルーツ抽出物およびブルーベリー抽出物は、それぞれ500μg/ mLおよび250μg/ mLの最小濃度でFnの生育抑制効果を示した。 FnのVSC生成に対する抽出物の影響では、125, 250および500μg/ mLの濃度のキウイフルーツ抽出物は、CH3SH産生を有意に阻害した。ブルーベリー抽出物は、500μg/ mLでCH3SH産生を有意に阻害した。 以上の結果は、キウイフルーツ抽出物およびブルーベリー抽出物がバクテリアのVSC産生抑制に有効であることを示唆している。したがって、これらの抽出物は口臭を低減する可能性が示唆された。現在、これらの抽出物の臨床的な口臭効果を検索する臨床試験を計画・実施している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
基礎研究に関しては、口腔保健に関連する実験を順調に遂行している。一方、臨床試験に関してキウイフルーツ抽出物を用いた研究は、被験者32名を対象としたクロスオーバー試験において、揮発性硫黄化合物産生および舌苔沈着を抑制する可能性が見出されており、順調に進んでいる。一方、ブルーベリー抽出物を用いた臨床試験は、フランスのダイアナフード社からの輸入予定のブルーベリーエキス粉末の購入が、同社の生産遅延のために遅れており、上記と同様のクロスオーバー試験の実施を計画しているものの、その遂行ができていないため、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
ブルーベリー抽出物およびキウイフルーツ抽出物がバクテリアのVSC産生抑制に有効であるという基礎研究部分にて得られた成果を国際学会(IADR,ロンドン)にて発表する予定である。また、先行して実施したキウイフルーツ抽出物を用いた臨床研究結果を解析して、国内学会(日本口腔衛生学会、札幌)にて報告予定である。また、ブルーベリー抽出物が入荷出来次第、臨床研究を開始できるよう、クロスオーバー試験に関するプロトコールを作成中である。
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Causes of Carryover |
フランスのダイアナフード社からの輸入予定のブルーベリーエキス粉末の購入が遅れており、そのための支払い分が翌年度への繰り越しとなった。また、臨床研究として、クロスオーバー試験の実施を計画しているものの、その遂行が開始できていないため、研究参加者への謝金分などが未使用となっており、次年度使用額が生じた。 今年度の使用計画として、昨年度に得られたキウイフルーツ抽出物およびブルーベリー抽出物がバクテリアのVSC産生抑制に有効である成果を海外学会にて発表予定であり、そのための経費として使用する予定である。また、ブルーベリーエキス粉末の購入を行い、同抽出物の臨床的効果を検索する臨床試験を計画しており、そのための研究補助員の雇用および研究協力者に対する謝金としての経費の利用を予定している。
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Research Products
(4 results)