2017 Fiscal Year Research-status Report
流体解析を応用したダウン症児OSASの部位特定と歯科的治療モデルの構築
Project/Area Number |
16K11864
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
佐藤 秀夫 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 講師 (40507125)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 慎介 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (00773780)
岩崎 智憲 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 准教授 (10264433)
弘中 祥司 昭和大学, 歯学部, 教授 (20333619)
山崎 要一 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (30200645)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 上顎急速拡大 / 口腔筋機能療法 / 睡眠時無呼吸症候群 / ダウン症児 / 徐波睡眠 / グリンファティック |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者である佐藤秀夫は、睡眠医学研究のメッカである、米国スタンフォード大学にて2017年7月から2018年3月まで滞在し、同大学、西野精治教授と共同研究を実施した。共同研究内容は、ダウン症モデルマウスである、DP16モデルマウスを用いて、気道の流体解析を行い、ダウン症若年者の睡眠時無呼吸症候群の現象解析と、マウス顎骨の形態計測を行い、顎顔面形態の発育異常に関して解析を行った。結果として、DP16モデルマウスはワイルドタイプと比較して、有意に気道通気障害および下顎骨の過成長が見られた。さらに、DP16モデルにおいて脳脊髄液(CSF)のオレキシン/ハイポクレチン濃度を測定して、DP16マウスのサーカディアンリズムを調査した。結果的にDP16マウスは徐波睡眠(SWS)の傾向が減少し、REM睡眠の増加傾向が見られた。これは、睡眠中のアミロイドβタンパク質の排出阻害要因と考えられ、ダウン症の認知症の早期発症の関連因子の可能性が本研究により明らかとなった。また、治験例として、12歳の重度の睡眠時無呼吸症候群を有する、ダウン症男児に対して上顎急速拡大により、睡眠時無呼吸症候群が改善した例を経験した。これは従来の治療法である、アデノイド・口蓋扁桃摘出術を実施しても、OSASの著しい改善がみられず、予後が不良であることが多かったが、本治療法が有用であることを示唆する結果であるとともに、今後の治療法研究に関する展開が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ダウン症の睡眠時無呼吸症候群に関する、流体解析分析が終了しており、さらに米国スタンフォード大学との共同研究により、ダウン症のアルツハイマー型認知症の早期発症の原因として睡眠時無呼吸症候群を含む睡眠関連疾患との因果関係について、徐々に明らかになっており、本研究テーマである、ダウン症児OSASの早期改善が、認知症予防になる可能性を示唆することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ダウン症児OSASを改善する目的で、口腔筋機能療法、上顎急速拡大、下顎前方誘導装置などの歯科的治療法の開発と治験を実施するとともに、ダウン症OSASの予後に関しての研究を推進してきた。 今後は、歯科的治療法とくに、口腔筋機能療法に関する新たな手法の開発と、口腔内装置との併用療法に関しての方策に関する研究を推進する予定である。
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Causes of Carryover |
前年度からの研究が順調に進展し、計画が進行している。その中で、次年度に使用する必要性があると判断した。
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Research Products
(3 results)