2016 Fiscal Year Research-status Report
新たな摂食嚥下機能プロトコールは早期加齢リスクのあるダウン症候群に有効か?
Project/Area Number |
16K11870
|
Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
水上 美樹 日本歯科大学, 生命歯学部, 医療職員 (60735695)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊谷 武 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (20214744)
松山 美和 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学系), 教授 (30253462)
田村 文誉 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (60297017)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | ダウン症候群 / 摂食嚥下障害 / 嚥下機能 / 咀嚼機能 / 摂食嚥下機能不全段階 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、発達期障害児(者)に用いられている摂食嚥下機能不全段階の分類は、重度脳性麻痺を対象とした分類であるためダウン症候群児の発達や機能不全段階に合致していない。そこで、今年度はダウン症候群児における咀嚼機能獲得を目指した指導内容を確立し、新たなプロトコール開発の為の不全段階を作成した。この段階は不全な順に、Lv1咀嚼なし、嚥下不良、Lv2咀嚼あり、嚥下不良、Lv3咀嚼なし、嚥下良好、Lv4咀嚼あり、嚥下良好とした。 対象は、2014年4月から2016年11月の期間に当クリニックの小児摂食外来に初診として受診したもののうち、食事が全介助で経口摂取をしているダウン症候群児48名(平均年齢10ヵ月±0.78歳)である。これらの対象児の初回摂食指導時の評価結果から「咀嚼の有無」、「嚥下時の舌突出の有無」、既存の分類から「摂食機能不全段階」と「嚥下の程度」を抽出しました。嚥下機能の程度については、既存分類の「経口摂取準備不全」または、「嚥下機能不全」を嚥下不良とした。なお、これらの評価記録には、今回の研究の為にシステムを組んだiPadを用いてリンク社製のSunny-CARE「子供外来」版システムを用いて行った。 結果、既存の不全段階の分類と今回作成したダウン症の機能不全段階の分類とに分類すると、新たな分類のLv1に比較的多く集約されることがわかった。さらには、既存の機能不全段階と本研究で作成した機能不全段階との差を分類すると約6割に分類の不一致があることがわかった。 今回の結果より、サイレントアスピレーションの頻度が高く、早期から嚥下に問題が起きてくることが予測されるダウン症候群に対する咀嚼と嚥下を重視した機能不全段階を確立していくことがプロトコールを作成していくうえで重要であると思われた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究予定は、摂食機能評価、訓練指導内容と頻度、栄養状態を基礎調査する予定となっていた。現在、2014年から2016年に来院したダウン症候群児の調査および検討は終了している。申請時、栄養評価を行うこととしていたが低年齢児のダウン症候群児の発達から栄養評価の基準値を比較検討することが困難であると想定されるため、今回の研究から栄養評価を外す事とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまで実施してきた内容でさらに対象者数を増やして既存の不全段階と今回作成した不全段階の一致率を検証する。その後、対象者を限定して今回作成した不全段階に適した訓練方法を作成し、一定期間実施する。実施後の効果を判定してプロトコールの作成を進めていく予定である。
|
Causes of Carryover |
今年度評価記録のためにipadを用いてリンク社製のSunny-CARE「子ども外来」版システムを組んでもらったがアプリソフトの料金の支払いが次年度に持ち越されたために生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度繰り越されたアプリソフト、ダウン症候群児の摂食指導に用いる座位保持椅子の購入に使用予定である。また成果発表を行う予定であるため、旅費の使用を計画している。
|