2017 Fiscal Year Research-status Report
新たな摂食嚥下機能プロトコールは早期加齢リスクのあるダウン症候群に有効か?
Project/Area Number |
16K11870
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
水上 美樹 日本歯科大学, 生命歯学部, 医療職員 (60735695)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊谷 武 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教授 (20214744)
松山 美和 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学系), 教授 (30253462)
田村 文誉 日本歯科大学, 歯学部, 講師 (60297017)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ダウン症候群 / 摂食嚥下障害 / 嚥下機能 / 咀嚼機能 / 摂食嚥下機能不全段階 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は、現在用いられている向井の摂食嚥下機能段階の分類(以下、機能段階)と今回作成した機能不全段階の分類(新摂食レベル)の比較において約6割に分類の不一致が生じていた。さらに、新たな分類の誤嚥の疑いが最も高いLv1に対象児が集中したことも判った。以上の結果より、更なる咀嚼と嚥下を重視した機能不全段階を確立していくことがプロトコールを作成していくうえで重要である事が前回までに判った。そこで、今年度はさらに対象児数を増やし検討を行った結果を以下に示す。 対象は、2012年10月から2016年12月の期間に当クリニックの小児摂食外来を受診した初診時年齢(月齢)が生後10カ月~36カ月の食事を全介助で受けているダウン症候群児89人(男児47名人、女児42人、平均年齢1.1±0.9歳)である。方法は、初回摂食指導時の問診、認知発達検査には、太田ステージを用いた。摂食機能評価の中からは、嚥下と咀嚼に関連した項目を抽出し、年齢、認知発達段階、機能段階、咀嚼の有無との関連を検討した。評価記録は、昨年度と同様にリンク社製のSunny-CARE「子供外来」版システムを用いて行った。結果、機能段階においては、すりつぶし機能(咀嚼機能)を獲得しているものはわずか2人(0.2%)しか存在しないものの、押しつぶし機能獲得段階に咀嚼を有している児が23人(25.8%)存在していた。一方、新機能レベルでは「咀嚼あり」のものが34人(38.2%)と機能段階における咀嚼獲得の人数の大幅な誤差が生じた。これらのことから、舌突出や口唇閉鎖不全が残存しやすいダウン症候群にとってこれまでの獲得段階では、比較的初期の段階となり食形態が容易な指導になる傾向にあった。そのため、咀嚼を有する者への指導内容が必ずしも適当でなく、特徴的な摂食機能に対応するレベルとその対応方法を今後検討していく必要性が伺われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度の研究予定は、獲得段階に応じた訓練を指導し次年度に向けて訓練効果の確認をすることが含まれていた。しかし、現段階において訓練効果をデータ収集するまでには至らず新たに作成した機能不全段階の検証を行うところに留まった。進行が遅れた理由として、データーの集積に時間を費やしたことと、新たな機能不全段階の信頼性を高める検証を行ったためである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでの結果を踏まえて、咀嚼をい獲得しているであろう10ヵ月から全介助を行っている3歳までの対象児を選定し同様の分析に加えて1年後の変化についての検証を行っていく。さらに、新たに設定したレベルの指導効果を検証していく予定である。
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Causes of Carryover |
国際学会にて本研究に関する発表をアメリカで予定していたがデータの集積が間に合わず昨年度は、国内学会の発表にとどまった事と研究打ち合わせにて徳島大学の共同研究者との打ち合わせ回数が予定よりも少なかったために繰越金が多くなってしまったため、次年度使用額が生じた。 今年度は研究分担者である田村文誉が国際学会にて情報収集と成果報告を行うための旅費に使用する。また、初年度に開発したシステムの運用費に使用予定である。
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Research Products
(1 results)