2017 Fiscal Year Research-status Report
SEIQoL-DWを経時的に用いての若年性神経難病患者のQOL評価とケア構築
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16K12050
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
秋山 智 広島国際大学, 看護学部, 教授 (50284401)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 若年性パーキンソン病 / SEIQoL-DW / QOL / 神経難病 / MASAC-PD31 / 経時的研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】本研究は若年性パーキンソン病の生活の質(QOL)について、最大12年間経時的にSEIQoL-DWを実施することにより明らかになった変化の様相からその意味について分析し、若年性パーキンソン病患者のQOLの変化の特徴について明らかにすると共に、患者のQOLの向上に寄与する方策を検討することを目的とする。 【方法】調査対象は、概ね40歳代以下で発症し、かつ現在50歳代以下のパーキンソン病患者60名。調査方法は、原則として1年に1回ずつ同じ対象者にSEIQoL-DWを実施し、それを数年(最大12年)にわたり継続、その変化の様相と原因を対象者と共に検討した。 【結果】SEIQoL-DWは12年間で60名に実施した。全454回の平均値は65.01±18.74であった。全2270個のキューの種類を分析した結果、若年層に特化したキューとしては、「仕事関連」「恋人・婚約者」「子育て関連」などが挙げられた。2年以上で複数回実施した50名(394回分)のデータから、前回の値より上昇していたのが185(46.95%)、下降していたのが209(53.05%)だった。特に長期間(9年から12年)実施した37名の初回と最終回の値の比較においては、上昇した人が13名(35.14%)、下降した人が24名(64.86%)だった。男女差はなかった。また、値の変動の原因については、前年度と比較して値が下降したケースでは、①症状の進行(on/off症状、ジスキネジア、腰痛等)、②自分自身の喪失体験(仕事、お金、離婚、友人関係等)、③家族の問題(家族間の関係悪化、家族の失業や病気等)、④気持の落ち込み(①~③の結果)、が主な原因として挙げられた。上昇したケースでは、①一度失ったものを回復する(家族関係など)、②失ったものに代わる何かを得る(患者の会、新たな友人関係等)、③考え方の枠組みの変容、が主な原因であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現時点では、概ね順調であるが、本研究は長期間継続する必要があるためため、若年性とはいえ対象者の多くが50代以上となりやや高齢化している。もっと若い世代の対象者を増やすことが必要である。また、長い期間の中で症状が進行し、今後の調査が継続できなくなる人も少し出てきているため、そういう意味でも新規の対象者を増やす必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
①前回の科研課題からも継続している内容も含めて、SEIQoL-DWを一人あたり年に一度ずつ毎年直接面接をして聴取する。なお、例外として、遠方で直接の面接が難しいケースでは、電話やメール、郵送を併用することもある。 ②MASAC-PD31も同時に聴取する。 ③MASAC-PD31の内容を部分的に補完するため、嗅覚、UUIS(病気の不確かさ)についても詳しく聴取する。 ④以上のことにより、毎年の調査結果を過去のものと比較しつつ、患者のQOL向上のための施策について、患者自身とさらに検討する。
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Causes of Carryover |
勤務の都合でもう1回予定していた出張(患者調査)に行く日程・時間がとれず、次年度に回すこととした。
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Research Products
(6 results)