2017 Fiscal Year Research-status Report
育児不安トリアージ尺度の開発-妊娠初期妊婦を対象にした育児不安予備軍の抽出-
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16K12116
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Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
坂梨 薫 関東学院大学, 看護学部, 教授 (60290045)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
勝川 由美 関東学院大学, 看護学部, 准教授 (20438146)
水野 祥子 関東学院大学, 看護学部, 講師 (60728179)
沢田 真喜子 日本女子体育大学, 体育学部, 講師 (80363555)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 妊婦の心理 / 妊娠期の環境 / 心理特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度に実施した妊婦と産後1ヶ月以降の母親を対象としたインタビュー結果と文献をもとに妊婦と産後の母親に対する調査票を作成した。今年度は妊婦を対象に調査を行った。 【調査】2018年2月に15週~36週未満の妊婦(1854名:初産婦、経産婦各々927名)を対象にインターネット調査を実施した。調査内容は①対象の属性、②パートナーとの関係、③ソーシャルサポート、④性格特性、⑤妊娠に対する思い、⑥育児に対する思い、⑦母親になるイメージなどである。 【結果】対象者の背景は、平均年齢は30.5歳、職業あり43.0%、核家族89.5%、妊娠の経緯は①望んで自然に50.3%、②計画的22.9%、③不妊治療で13.9%、④望まなかったが自然に12.9%であった。調査項目について、性格特性を除く28項目と性格特性12項目を因子分析した。28項目の妊娠期の心理や環境項目は『母親になる自信』『母親になる幸福感』『良好なパートナーとの関係』『親密な人間関係』『妊娠経過の受け止め』の5因子が、性格特性では、『明るくおおらか』『自分に甘い』『感情の発散』の3因子が抽出された。 妊娠期の心理や環境の5因子は、性格3因子と弱い~ややの相関がみられた。また、対象者の背景と5因子得点の関連をみたところ、初経産では『親密な人間関係』以外に有意差がみられ、家族形態では『良好なパートナーとの関係』に有意差がみられた。また、妊娠の経緯と各々の因子との関連を一元配置分散分析で検定した結果、④望まなかったが自然にの群は、『母親になる自信』『母親になる幸福感』『良好なパートナーとの関係』『親密な人間関係』の4因子共に有意に低く、『妊娠経過の受け止め』は③不妊治療での群が有意に低かった。以上のことから、妊娠期の妊婦の心理・環境の受け止めは、その人の持つ性格特性、初経産の別、家族形態、妊娠の経緯が影響していることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2016年度は調査票作成のためにインタビュー調査、2017年度は妊婦、産後の母親への調査票を作成し、妊婦に対する調査を実施した。2018年度は産後の母親への縦断的調査を行っていく予定である。 当初の計画と異なるところは、調査受け入れ施設の突然のお断りからインターネット調査に変更した点である。新たな施設への依頼より、調査対象者数を確保することができ、妊娠期に調査した対象が産後も調査可能であるという確認を取りインターネット調査に変更した。調査対象者が1854名と結果的には予想以上のデータを収集することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、2017年度と同じ対象者に出産後の育児生活の調査を行い(インターネット調査会社には同対象者に対し、2018年10月頃に調査することを依頼済である)、妊娠期の調査結果と産後の関連を分析し、育児不安予備軍抽出のための尺度表作成に臨んでいく。 尚今回の調査では、睡眠時間や自由になる時間なども調査項目に入れてあることから産後の変化と育児生活の関係なども分析する予定である。
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Causes of Carryover |
研究計画において、調査協力の意向を示していた施設で実施不可能となり、インターネット調査を行った。見積りでは120万円程度であったが、これまでの依頼実績があること、こちらから金額削減の依頼を行ったことから、約40万円の値引き額となった。そのため、当初予定していた金額より大幅な削減となったことが大きな理由である。 今年度は、インターネットでの縦断調査を予定していることから、前年度の調査費用と同額(80万円)程度の支出が考えられる。また、残額の45万円はデータ分析関連に必要な物品費、学会参加費・旅費(国内:日本母性看護学会、看護研究学会、日本看護研究学会、助産学会)の予定である。
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