2016 Fiscal Year Research-status Report
介護老人福祉施設における『より良い看取り』実現への取り組み
Project/Area Number |
16K12190
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
小山 千加代 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50597242)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊永 淳 新潟大学, 医歯学系, 助教 (50634862)
大西 奈保子 帝京科学大学, 医療科学部, 准教授 (60438538)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アクション・リサーチ / 介護老人福祉施設 / 特別養護老人ホーム / 看取りケア / 協働 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の課題は「介護老人福祉施設における『より良い看取り』実現への取り組み」である。研究目的は、アクションリサーチの手法を用い、研究者が介護施設の看護師・介護士とチームを組んで、相互依存的な関係の中で看取りの課題を明確にし、施設であるからこそ可能となる看取りを実現し、チーム全体に生じた意識的・行動的変化のプロセスを明らかにすることである。 平成28年度においては、東京都内のB施設において、介護士、看護師、PT、栄養士、相談員が構成メンバーとなり、定期的な「看取りの勉強会」を開催した。「勉強会」においては、1-7回目において職員の看取りへの願いが表明され(学会発表)、8-12回目においては具体的な方法を検討しつつ、勉強会開始後に看取りケア対象となった利用者への看取りの実践報告がされた(学会発表予定)。1-7回の看取りへの願いのカテゴリーは【食事をはじめとした日常生活援助の工夫をしよう】【今まで通りの関係を大切にしてケアをしよう】【チームがまとまり、個々の看取りの不安をやわらげよう】【看取りをよくするために勉強を続けよう】【個々の立場で出来ることを考えよう】であった。この願いの実現のために、家族との連絡ノートの作成や利用者と家族の休息のための環境整備、食事への配慮や工夫がされて、より良い看取りと評価される看取りの実現に至っている。看取りの実践は、事例報告として「勉強会」で発表され、意見交換されて各フロアーの参加者に共有されている。なお、施設の利用者と家族のために「ホームにおける【看取りケア】とは」というリーフレットづくりが始まり、同じ系列の3施設においての使用が検討されている段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
B施設において、12回の「看取りの勉強会」を開催して、より良い看取りの実現に至っている。1-7回目の「看取りの勉強会」において検討された職員の「看取りへの願い」については、各回の逐語録からカテゴリー化したものを教員が職員に示し、それをさらに職員間で検討を行い、「ホームにおける【看取りケア】とは」というリーフレット作成に至っている。なお、全12回の勉強会の振り返り記録から、勉強会チームの意識的・行動的変化のプロセスを分析しているところである。なお、本取り組みについては、職員の研究成果として、経営母体の職員提案研究発表部門に応募して優秀賞を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度は、東京都内の比較的規模の大きなB施設においてアクションリサーチを行い、現在、勉強会チームおよび組織そのものの看取りへの取り組みの変化について分析を行っているところであり、引き続き、複数で分析を行い、記述する。29年度は3施設目の研究実施を予定している。最終的には『より良い看取り』実現への取り組みに際して、チーム全体に生じた意識的・行動的変化のプロセスを明らかにして、複数の施設での取り組みの成果を比較することによって、アクションリサーチの促進因子および研究手法の妥当性について検討する。
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Causes of Carryover |
平成28年度にスペイン・バルセロナで開催されるICN(The International Council of Nurses)大会に参加の予定であったが、研究の進捗はあったものの分析が間に合わず、抄録の提出が間に合わなかったため、海外渡航費用予算の余剰がでた。また、28年度分においては物品費・旅費・謝金について、別途研究助成による支出が可能であったことが理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、国内学会、国際学会での発表および論文投稿予定であり、国内旅費および海外渡航費、資料作成などに使用する予定である。また、資料整理においてはアルバイトの雇用の必要があるとともに、分析においては専門家による検討会の開催による費用も発生する。
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