2016 Fiscal Year Research-status Report
国保データベースを活用した若年糖尿病予備群の要因分析と保健指導ガイドライン作成
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16K12344
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
柳澤 理子 愛知県立大学, 看護学部, 教授 (30310618)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 希美 愛知県立大学, 看護学部, 助教 (10527766)
岡本 和士 愛知県立大学, 看護学部, 教授 (60148319)
横山 加奈 愛知県立大学, 看護学部, 講師 (20551683)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 糖尿病 / 非肥満型糖尿病 / HbA1c / 関連要因 / 縦断研究 / 地理情報システム(GIS) / 東三河地域 / 豊川市 |
Outline of Annual Research Achievements |
愛知県東三河地域では、肥満や高血圧は愛知県とほぼ同じかやや低い傾向にあるのに対し、HbA1cの有所見者(5.6%)は70%を超えており、愛知県に比べて突出して高い。この若年から始まるHbA1c高値は高水準を維持しながらも糖尿病の治療基準とされる7.0%には至らず、そのため健診で指摘されて受診しても治療対象とならずに経過しているうちに、心筋梗塞や脳血管疾患などを発症する事例が少なくない。その要因は未だ不明で、肥満を基盤に年齢が高くなって発症する糖尿病と同じ保健指導では適切に対応できない可能性がある。 そこで本研究では、東三河地域、特に豊川市と協力し、国民健康保険データベース(以下、KDB)を用いて、若年性非肥満型HbA1c高値の要因探索とその対応を検討することを目的とする。 1年目の平成28年度は、豊川市と委託研究覚書を締結しKDBデータの解析を行った。2015年の受診者のうち糖尿病薬治療を受けていない10636人のデータを用いて、HbA1cと健診データとの関連を検討した。2変量検定ではBMI、LDL、高血圧がHbA1cと関連していたが、相関および重回帰では関連はみられなかった。問診票項目では、20歳から10kg以上の体重増加が、男女ともにHbA1c高値と関連していた。また、2010年と2015年に特定健診を受診した4278人のデータを用いて縦断的分析を行った。受診者を低リスク、高リスク、境界型、糖尿型に分類して検討した結果、2~3割の住民が、5年間により悪い群へと移行することが明らかになった。さらに、ArcGISを用いて空間分布を解析した結果では、HbA1c高値の割合が高い地域は、性別および年代別で異なり、年代の違いには、健保から移行してくる退職者の影響があるのではないかと思われた。 これらの成果をまとめ、豊川市の部課長および管轄保健所担当者に対して報告会を開催した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
健診受診者のプライバシーを保護しつつ研究を円滑に進めるため、年度当初に行政と委託研究覚書を締結することができた。 健診データは年度ごとに入力方法が異なりクリーニングが必要で、かなりの作業量が必要であったが、これを完了した。HbA1cと肥満、生活習慣等との関連を検討するため、2015年データをもとにした横断分析、2010年データと2015年データを連結させた縦断分析、GISをもちいた空間解析を実施し、研究実績に示したような成果を得た。この成果について、保健医療関係者だけでなく、施策に関する権限をもつ部課長も含めた報告会を開催し、市全体で結果を共有することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、この結果をもとに、HbA1c高値の関連要因についてより詳細な調査および分析を行うとともに、住民への広報活動、また保健指導について、豊川市保健センターとともに検討する。 現在の問診票では、関連要因の検討が不十分であることから、今後必要なデータを検討し、問診票等のみなおしを検討する。 これまでの研究成果を、学会等で公表する予定である。
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Causes of Carryover |
データ解析にアルバイトを雇用予定であったが、データのクリーニングが複雑であったため、研究者だけで解析したこと、また、データ解析に時間がかかり、学会発表のための旅費を使用しなかったために、残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、学会で成果を公表予定であり、旅費および発表準備のための消耗品として使用する予定である。
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