2017 Fiscal Year Research-status Report
農山村の安全な暮らしを支える次世代シニア健康づくりプログラムの開発
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16K12346
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Research Institution | Ehime Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
野村 美千江 愛媛県立医療技術大学, 保健科学部, 教授 (50218369)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入野 了士 愛媛県立医療技術大学, 保健科学部, 講師 (70634418)
鳥居 順子 愛媛県立医療技術大学, 保健科学部, 准教授 (00249608)
江崎 ひろみ 愛媛県立医療技術大学, 保健科学部, 助教 (90739400)
仲渡 江美 愛媛県立医療技術大学, 保健科学部, 准教授 (30509211) [Withdrawn]
永井 さつき 愛媛県立医療技術大学, 保健科学部, 講師 (30791652)
長尾 奈美 愛媛県立医療技術大学, 保健科学部, 助教 (50805918)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 認知機能低下予防 / 向老期 / 農山村 / 安全な暮らし |
Outline of Annual Research Achievements |
認知機能低下予防に向けた地域支援ならびに健康度に応じた安全運転習慣化を目指す次世代シニア健康づくりプログラム開発に向け、実態調査を行った。地方都市近郊で公共交通機関が乏しいA町の50~69歳の住民を性・年齢階級・校区で層化無作為抽出した2,400名を対象とした。郵送法による無記名自記式質問紙調査の内容は、基本属性、老いの自覚、主観的健康感、ヘルスリテラシー、認知症予防への関心、認知機能低下予防行動(以下、予防行動)の有無と内容、自動車運転の有無、運転時の心がけや自信、運転頻度や距離等とした。 【分析1】有効回答909名(37.9%)を分析対象とした。向老期住民の予防行動実施は36.4%、男性に比べ女性が有意に多く、年齢階級別では60代後半が有意に多かった。予防行動の内容は、男性は「ジョギング」「地域活動」「囲碁・将棋」、女性は「サークル・趣味活動」「ゲーム・クイズ」「暗算・計算」「服薬管理」「料理や栄養を考える」が有意に多かった。50代は「パソコン・スマホ」「音楽鑑賞・演奏」、60代は「ウォーキング」「魚中心の食事」が有意に多かった。予防行動は認知症予防への関心と有意な関連を示した。 【分析2】分析対象は有効回答かつ自動車運転をしている837名(34.9%)。安全運転可能と思う年齢は71~76歳に収束した。運転時の心がけは、全体で「時間に余裕をもって出かける」「走り慣れた道を走る」を半数以上が実施。60歳代が50歳代に比べ実施割合が高く、「悪天候時は走らない」「黄色信号で止まる」「乗りなれた特定の車だけ運転」が男女共に有意だった。運転時の心がけと運転に対する自信のなさ、主観的健康観、ヘルスリテラシーは関連が認められたが、運転頻度との関連は確認できなかった。同町高齢者対象の先行調査と比較し、安全運転可能と思う年齢が低く、早期からの安全運転習慣化に関与できる可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は実態調査を行い、関連要因の分析を進めるとともに、協力自治体において関係者や住民代表を対象に結果報告会を行った。研究会議を3回開催し、分析結果とその解釈について意見交換を行い、学会発表を3件実施、平成30年度に向けて論文公表の準備を進めている。また、向老期住民を対象とした教育プログラムの開発のための資料取集と企画を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
向老期は、地域に関心が向き始める年代でもあり、地域での社会関係を醸成することで、地域に根差した安全運転行動へと繋がる可能性が高い。今後はソーシャルキャピタル因子である地域活動の実際、地域への愛着、ソーシャルサポートを関連要因として分析を進めるとともに、農山村社会の特徴である信頼・規範・ネットワークを活かし、次世代シニアの協調行動や健康管理を促進することにより、地域社会の安全性を高める健康プログラムの内容項目を明らかにし、セルフケアの獲得に役立つ教材を提案したい。農山村に暮らす次世代シニアとの協働によって、より長く安全に運転できる健康づくりプログラムの開発を行うことができれば、地域の安全な暮らしを支える新たなソーシャルキャピタルの醸成に資することになる。
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Causes of Carryover |
データ入力のための賃金雇用を予定していたが、時間的に余裕のある分担研究者がデータ入力を行ったため人件費の支出を必要としなかった。次年度、英語論文の投稿を予定しており、翻訳チェックに使用したい。
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Research Products
(3 results)