2016 Fiscal Year Research-status Report
帰還困難区域内コミュニティの環境管理に係る合意形成方法の研究
Project/Area Number |
16K12377
|
Research Institution | University of Niigata Prefecture |
Principal Investigator |
山中 知彦 新潟県立大学, 国際地域学部, 教授 (40554382)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 東京電力福島第一原子力発電所事故被災地域 / 帰還困難区域 / 中越地震被災地域 / 無住化地域 / チェルノブイリ原子力発電所事故被災地域 / 環境管理 / 先行研究 / インターネット |
Outline of Annual Research Achievements |
チェルノブイリ原子力発電所事故被災地域の環境管理方法と住民の合意形成方法に関する先行研究のインターネット検索結果から、自然科学的な環境管理方法に関する研究報告は、一定程度チェルノブイリ原発事故被災地での蓄積があり、福島の帰還困難区域の環境管理を考える上で今後さらに重要な意味を持ってくることが分かった。住民の合意形成方法に関する分野における方法論的な研究は、福島原発事故以降の今後のわが国において開発される必要があることが分かった。 中越地震被災後無住化した小千谷市十二平集落および旧川口町小高集落・山の相川集落における住民の活動に関する聞き取り調査および現地視察を行い、福島帰還困難区域にとって参考となる重要な成果を得ることができた。また、環境教育研究者を中心とするチェルノブイリ原子力発電所事故被災地域の調査団に参加し、現地視察および様々な関係者への聞き取り調査を行い、福島帰還困難区域にとって参考となる重要な成果を得ることができた。 アンケート調査では、「現在最も気がかりなこと」として「長泥の家や土地の管理の方法」が挙げられた。さらにこのことについて詳しく聞いた設問で、今後の対応策を見通すことができた。 区報では、現地調査やアンケート調査結果などを援用し、住民に今後の環境管理を考える上での情報提供を行うことができた。 「ベラルーシ若者交流事業実行委員会」の一員として、チュルノブイリ被災地域の若者を日本に招き、福島をはじめとする日本の若者と「原発事故後の社会で生きる」をテーマとした意見交換の機会を設け、大きな成果を上げることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
全体として、予定以上に順調に進捗している。平成28年度の研究実施計画に即して、当該年度の進捗状況を以下に記す。 ・先行研究のレビュー:無住化した中越地震被災地域の2集落に関する現地調査を行った。チェルノブイリ原発事故被災地における環境管理に関する先行研究の日本語・英語・ロシア語によるインターネット検索を行い、学会誌に発表した。 ・先行事例(チェルノブイリ原発事故被災地域コミュニティ)現地1次調査:ベラルーシ・ウクライナにかけて7日間の現地調査を行った。 ・環境管理に係る住民意向の把握:福島県飯舘村長泥行政区の住民を対象としたアンケート調査を実施した。 ・公開研究会:ベラルーシ若者交流事業として、東京・福島市・南相馬市・いわき市で連続シンポジウムを開催した。 ・区報の編集発行:予定通り4回発行した。
|
Strategy for Future Research Activity |
当面29年度研究実施目標を以下に記す。 ・先行事例(チェルノブイリ原発事故被災地域コミュニティ)現地2次調査:チェルノブイリ原子力発電所事故被災地域の調査結果を整理し、2次調査の必要性を検討する。 ・社会実験[環境管理方法のたたき台作成]:アンケート調査から見出された対応策としての「長泥の家や土地の管理の方法に取り組むこと」について、国の「帰還困難区域の取扱に関する考え方(案)」の動向を見極めながら、事例調査結果も踏まえ、行政区役員会を通し社会実験の準備を進める。 ・公開研究会:進捗状況を勘案しながら、秋以降に企画実現を図る。 ・区報の編集発行:予定通り4回発行する。
|