2016 Fiscal Year Research-status Report
スマートフォン動画カメラによる高速可視光通信の実現
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16K12424
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Research Institution | National Institute of Informatics |
Principal Investigator |
橋爪 宏達 国立情報学研究所, アーキテクチャ科学研究系, 教授 (40172853)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 情報通信工学 / ディジタル信号処理 / ヒューマンインタフェース / 可視光通信 |
Outline of Annual Research Achievements |
スマートフォンに搭載された汎用動画カメラによる高速可視光通信を実現する研究である。平成28年度において、実験システムを構築し基本動作の確認と方式の発展を試みた。 1)光源あたり 150bps程度の、所期の動作を確認できた。2)高速変調により肉眼にフリッカ(ちらつき)の見えない状態でも通信可能であることを確認した。3)OFDM変調に類似した基本変調方式を実施できること、それが期待どおりの結果を示すことを確認した。光源あたりの通信速度としてはおそらく現在の世界記録に到達している。この成果にもとづき、ただちに 2件の特許申請を行った。また IEEE信号処理部門の論文誌に投稿し、採択された。これを含め3件の論文発表、4件の国際学会、7件の国内外研究会で発表した。ソウル市での国際ワークショップに臨席していた韓国科技院の代表もこの分野の研究者で、方式についていくつかの質問を得た。新しい信号処理技術に立脚した通信方式として注目された。 研究会報告には当該分野での商品展開をめざす企業も多く参加しており、数軒の共同研究申し込みを受けることができた。後続年度において共同研究に発展できるよう、現在個別に協議を行っている。 複数光源による並列化でより高速な通信を実現することが次年度研究の主体となる。現在そのような光源装置の設計と光学信号処理による光源分離フィルタの設計を行っており、研究目的にある多数ターゲットの光源追跡を視野に入れつつ、実用方式への展開をめざしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度の目標は新しい通信方式の理論完成とその実験による立証であった。 光源あたり150bpsの通信を行い、成果を特許申請および論文発表できたことで、初年度の研究目標は果たせたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
実験成果を広く社会にアピールするためには、可視光通信で従来は不可能と考えられていた高速実用通信を行ってみせるデモンストレーションが何より有効である。研究2年次を開始するにあたり、高速デモ通信実験装置の開発を準備している。また光源あたりの通信速度をより高めるための方式の着想を得ており、実験中である。これらの成果により協力企業などの参加を得て成果を社会還元することがこの研究の2年次の目標であり、その方向に進めていくことになる。
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Causes of Carryover |
新方式の高速化可視光通信実験を平成29年2月以降に実施しており、その機材調達費を年度をまたぐ形で使用した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
電子部品購入費として60千円を使用する計画であり、これは平成29年5月に実施する。
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Research Products
(14 results)