2019 Fiscal Year Annual Research Report
Historical research on the spread of western style bookbinding in Japan : establishing a platform for conservation western style books
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16K12543
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森脇 優紀 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 特任助教 (90733460)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
床井 啓太郎 松山大学, 経済学部, 准教授 (20508650)
安形 麻理 慶應義塾大学, 文学部(三田), 教授 (70433729)
福田 名津子 一橋大学, 附属図書館, 助手 (30456305) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 製本技術史 / 洋式製本 / 帳簿製本 / レタープレス・バインディング / ステーショナリー・バインディング / 洋装本 / 資料保存 / 西洋古典 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、東京大学経済学図書館所蔵「アダム・スミス文庫」(以下「スミス文庫」)について、2019年6月から10月にかけて製本構造調査・修復の痕跡調査を完遂した。その後、調査で得られたデータと、当時の修復事業に関する覚書に記録された作業内容や修復作業前の写真との比較を行った。 本調査から、「スミス文庫」のオリジナルの製本構造の特徴が、主として総タンニン革装の綴付け製本・背バンド綴じであることを確認した。また1950年代の修復の特徴は、①表装全体交換(旧表装貼付)、②表装背部分交換(旧表装貼付)、③表装部分修理(構造の修復)、④表装部分修理(簡易修復)に分類されることが明らかとなり、表紙・背表紙・綴じ・見返しにおける修復の特徴も見出せた。以上の結果から、1950年代の技術は、基本的な修復・製本の諸行程において現在の技術と大幅な違いはないと考えられる。また、東京大学経済学部における1950年代の修復方針(「原形保存」の原則)の先進性の一端や現代の資料保存との差異が見出せた。 2019年7月には、野崎家塩業歴史館にて、同館所蔵の明治前半の帳簿の製本構造調査を実施し、明治期の帳簿製本技術に関するデータを蓄積した。また松山大学にて、「スミス文庫」の調査経過の報告と、研究成果の取りまとめについて調整を図るために研究集会を開催した。同年12月にも、同じく松山大学にて研究集会を開催し、東京大学と一橋大学での現物調査結果について各自報告し、その報告を基に比較・検討し議論するとともに、年度末に公表する論考についても調整を図った。 成果の取りまとめの一環として、『東京大学経済部資料室年報』第10号(2020年3月)に「修復痕から製本を読み解く」をテーマに論考4本を公表した。 期間中は、国際シンポジウム「東南アジア地域研究情報資源の共有化をめざして」を共催し、研究成果の社会への発信に努めた。
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Research Products
(20 results)