2019 Fiscal Year Annual Research Report
Application of adavanced electron microscopy to elucidate Cs-rich microparticles released from Fukushima Daiichi
Project/Area Number |
16K12585
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
宇都宮 聡 九州大学, 理学研究院, 准教授 (40452792)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大貫 敏彦 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 教授 (20354904)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 福島第一原発 / セシウム / CsMP / 放射能 / 透過型電子顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
【緒言】2011年に福島第一原子力発電所(FDNPP)から環境中に放出された放射性Csは、その大部分が水溶性Csとして放出され、土壌中の粘土鉱物に強く吸着・固定されて表層5 cm以内のとどまっていると考えられている。一方で最近、通常のCs吸着粘土鉱物(Cs-clay)よりも約107-9倍放射能密度が高い高濃度放射性Cs含有微粒子(CsMP)が大気中、土壌中から発見されている。本研究では、表層土壌中における全Cs放射能に対するCsMPの放射能寄与率定量法(QCP法)を確立し、実際の福島県の表層土壌に適用することで、CsMPの移行挙動を明らかにすることを目的とした。 【実験】土壌から放射能を持つ粒子を単離し、粒子の各々の形態(CsMP・Cs-clay)を判別した後、各粒径における粒子の個数-放射能ヒストグラムを作成し、放射能に基づくCsMPの条件を決定した。その条件をもとに、実際の福島県内20地点の表層土壌におけるCsMPの放射能寄与率と個数を算出した。 【結果・考察】オートラジオグラフィーによる画像解析に基づくQCP法を確立した。114 ミクロンメッシュ以上の粒子はすべてCs-clayまたはその凝集体と同定され、114 ミクロンメッシュ未満の粒子からほぼすべてのCsMPが確認された。この画分において、0.06 Bq以上の放射能を持つ粒子をCsMPと同定し、その値を閾値として設定した。QCP法によって、福島県内の各表層土壌中におけるCsMPの放射能寄与率(RF値)は1-78%、土壌1 gあたり1-318個のCsMPが含まれていると算出された(Fig 2.)。これらの値は、地点によって大きく異なり、原発から拡散された合計9つのプルームの移行挙動から、CsMPの移行挙動は3月14日の午後から15日の午前にかけて拡散されたプルームの動態に関係していることが示唆された。
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Research Products
(8 results)