2016 Fiscal Year Research-status Report
次世代シーケンサを用いた東南極・昭和基地周辺における菌類相の季節変動と遷移の解明
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16K12643
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Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
辻 雅晴 国立極地研究所, 研究教育系, 特任研究員 (70756923)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻本 惠 国立極地研究所, 研究教育系, 特任研究員 (90634650)
植竹 淳 国立極地研究所, 国際北極環境研究センター, 特任研究員 (40455473) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 菌類 / 多様性 / 次世代シーケンサー |
Outline of Annual Research Achievements |
第49次及び56次南極地域観測隊によって異なる時期に採取された昭和基地周辺の約200の環境試料について、それぞれのサンプルの水分含量、pHの測定及び、全炭素・窒素の濃度測定を行なった。 また、これらの試料から約300株の菌類を取得し、菌類の系統解析に広く用いられているITS領域(Internal transcribed spacer)と26S rDNAのD1/D2領域の塩基配列を基に種の同定を行なった。その結果、子のう菌類11種、担子菌類18種に分類され、このうち子のう菌類では11種中9種が、担子菌類では18種中2種の新種を含む15種が昭和基地周辺では初めて報告される菌類であった。また、培養可能な菌類の約7割が担子菌類であり、その全てが酵母状の形態を取っていた。 これらの菌類の遺伝子配列情報を次世代シーケンス用の塩基配列データベースQIIMEに加え拡張を行った。 また、昭和基地周辺の環境試料から菌類のDNAをビーズ破砕法により取得した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は前倒し申請することにより、平成29年度に予定していた昭和基地周辺で採取された環境資料からのDNAの抽出まで進捗させることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
・昨年度、南極の試料より抽出を行なったDNAを鋳型として、次世代シーケンサーで菌類の多様性を分析するための、サンプル調整を行う ・調整した菌類の遺伝子サンプルをillumina社製の次世代シーケンサーMiseqにより配列を取得し、昭和基地周辺に生息している菌類の多様性の解析を行う。 ・取得した配列データは登録情報を修正・拡張したQIIME を利用したプログラムにより解析を行う。
次世代シーケンサーにより得た菌類相のデータと各採取地点における気温、水分含量、pH、栄養塩濃度および全炭素・窒素分析等の結果を統合することで、環境変動が南極域に生息している菌類の多様性に与えた影響の解明に世界で初めて挑む。
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Causes of Carryover |
当初購入を購入を予定していた、DNA抽出用のキットの購入費用が少なく済んだため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次世代シーケンサーで菌類の多様性を解析するのに必要なピペット用のチップ、グローブなどの消耗品や試薬の購入費として使用する予定である。また、論文投稿料としても使用する予定である。
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Research Products
(10 results)