2016 Fiscal Year Research-status Report
国際貿易理論による雪エネルギー有効利用に関する研究
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16K12652
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
松林 賢司 金沢工業大学, 情報フロンティア学部, 教授 (50748233)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 雪の積出港 / 石炭バラ積み船 / 雪の溶解挙動 / 雪の陸揚げ港 |
Outline of Annual Research Achievements |
①雪資源の積出港と輸送方法の技術的、及び経済的な評価とその最適化に関する研究 日本海側、東北、及び北海道地区の積雪量が多く大規模な輸送船(国際的に汎用船の標準規格とされるパナマックス級船舶が寄港可能な港である国際拠点港湾、及び重要港湾が雪資源の積出港として機能するか否かを政府統計資料、港湾関係資料、並びに地方自治体の刊行物、電力会社等を調査、インタビューの上、最適港候補を富山新港、室蘭港に絞り込んだ。加えて現地自治体、並びに研究機関の協力も得ながら適宜、フィールド調査、関係者からのヒアリングを経て最適港候補の技術的、並びに経済的な評価(雪資源量、雪質、使用可能期間、雪置場面積、内陸からの雪資源輸送利便性、積出設備、雪輸出に関する法規制、自治体の協力体制等)により更なる順位付けを実施した結果、石炭バラ積み船バックカーゴとしての南半球の雪輸送が物理的に可能であることは確認できたことは大きな成果であった。また輸送方法に関しては、学内外の研究者の協力を得て通常のバラ積船舶(保温材なし。)、断熱船(保温材あり。)、及び冷蔵船(冷蔵設備あり。)の3種について雪の輸送に関して文献による技術調査、及び適合調査を行い、更に輸送期間の雪の挙動に関するシュミレーションの為の実験設備を設計、準備して輸送中の雪の誘拐挙動を調べる実験に着手した。加えて専門家として商社、造船会社、船会社、港湾業務委託会社等に技術的、及び経済的な観点より委託調査の可能性に関して打診中。
②雪資源の陸揚港と需要者の技術的、及び経済的な評価とその最適化の研究 雪資源の輸送先は輸送期間が比較的短い東南アジアと豪州に限定して調査、関係先へのインタビューを実施した結果、常夏の東南アジアでは冷熱需要が旺盛でその需要地である都市部に近い港としてバンコック港、及びシドニー港が研究対象として最もふさわしいことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究に関しては申請書にも記述した通り、日本の豊富な雪資源を大規模に海外に輸出して有効利用しようとする過去の研究例が全くない為、イノベーターに特有の問題として情報収集や、ベンチマークの参照が困難である。新規の未利用再生可能エネルギーの利用に関する研究分野を創出することが期待される価値のある研究ではあるが、関係先から新しい発想のエネルギーバリューチェーンの構築に関する研究に対する理解を得ることが難しく助成頂いている予算内での研究委託、または実験協力先の探索に多大な時間を浪費している状況。これを打開する為に自前での試行錯誤しながら実験設備の設計、準備をせざるを得ない状況の為、従来の研究計画にやや遅れが出ている。
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Strategy for Future Research Activity |
①雪資源の陸揚港と需要者の技術的、及び経済的な評価とその最適化に関する研究 積出港の研究手法と同様に陸揚港としての適性が確認された2港(バンコック港、シドニー港)に関して出張によるフィールド調査を実施する。現地訪問の上、自治体、並びに前年度に予め協力先として選定された研究機関との意見交換を経て最適港候補の技術的、並びに経済的な評価(使用可能期間、雪置場面積、内陸への雪資源輸送利便性、陸揚設備、雪輸出に関する法規制、自治体の協力体制等)により更なる順位付けを実施する。本件に関しても関係する専門家として商社、船会社、港湾業務委託会社等に手続きと経済的な観点よりヒアリングを実施する。需要者に関しては大規模な雪資源の冷熱利用を前提として地域冷房施設、並びに冷蔵倉庫を想定の上、陸揚港としての適性が高い地区の需要者候補を政府、及び自治体資料により調査の上、リストアップの後、有望先のフィールド調査を現地研究者の協力も得て実施する。雪資源利用による需要者の冷熱供給設備(大型ショッピングセンター、大型ホテル、大型冷蔵倉庫向けを想定。)に関する技術的問題の有無に関しては適宜、空調設備会社、並びにエネルギーサービス会社から専門的な意見を聴取の上、研究対象とする。経済的な試算に当たっては、本件においても一般的な既存化石エネルギー資源(石炭、石油、天然ガス等)の発生する単位当たりの冷熱量、及び同じく輸送費と雪の単位冷熱量と研究によって推察される冷房費用を比較検討することにより、より実現に向けた問題点が明らかになるように得られたデータの整理を工夫する予定。
②雪資源の輸出利用に関する総合的バリューチェーンの構築、並びにその環境価値を考慮した経済合理性に関する研究 今後得らるデータを基に日本の雪資源の輸出利用に関する総合的バリューチェーン構築して全体的な事業性を評価の上、提言にまとめる。
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Causes of Carryover |
予定していた雪エネルギー利用に関する雪挙動シュミレーション、並びに積出港、輸送方法の調査委託先の探索に予想以上に時間がかかっている為に調査委託費の部分が頭書の予算が昨年度未消化となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に繰り越して使用する予定。
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