2018 Fiscal Year Research-status Report
「かわいい」とは何か-ビジュアル・ナラティヴによる多文化心理学の異種むすび法
Project/Area Number |
16K12683
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
山田 洋子 立命館大学, OIC総合研究機構, 上席研究員 (20123341)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ナラティヴ / ビジュアル / かわいい / 文化心理学 / デザイン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、以下の4つであった。1「かわいい」とは何か、ビジュアル・ナラティヴを用いた多文化比較をもとに、生き生きした実感に即した方法で説明し、国際発信する。2ビジュアル・ナラティヴに適用できる新しいメディアミックスの質的方法論を開発する。3「かわいい」と関係づけた心理的理論モデルを提案する。4「かわいい」に関連する新しい視点を発見し、新しいデザインの可能性を提案する。 2018年度は、上記の目的にそったビジュアル・ナラティヴの資料収集と分析を行った。さらに理論的・方法論的な議論を発展させて、「ビジュアル・ナラティヴとは何か」「ビジュアル・ナラティヴの方法論」「ビジュアル・ナラティヴの教育と支援」に関して、理論的考察と新しい方法論の提案を行った。特に本年度は、ビジュアル・ナラティヴを医療や教育や産業など、広く多方面で社会的に実践するためのワークショップを開催し、社会貢献に生かす方法を探究することに力を入れた。日本質的心理学会において「視覚イメージで語る-ビジュアル・ナラティヴ」を教育講演したほか、日本心理学会では「ビジュアル・ナラティヴ」のチュートーリアル・ワークショップを行った。また、立命館大学、関西大学などでビジュアル・ナラティヴのワークショップを開催し、描画やコラージュなど多様な方法の有効性を確かめた。さらに「ビジュアル・ナラティヴと身体イメージ」という新たな理論的課題に挑戦し、メタファーとの関連を追及した。また海外文献検索を行い、国際的に見ても「ビジュアル・ナラティヴ」が先端的で、最近急速に注目される概念になったことを明確にした。本年度の研究で、理論的・方法論的にめざましい進展をみると共に広い分野に多くの関心を呼び起こした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2018年度は、「かわいい」に関するビジュアル・ナラティヴ・データの分析に加えて、ビジュアル・ナラティヴとは何か」に関する理論的考察を行って、「身体イメージとメタファー」に関する新しい領域を探究した。ビジュアル・ナラティヴを当初の目的であった「かわいい」に限定せず、より基礎的なビジュアル・ナラティヴの理論考察と方法論の検討を行うとともに、「かわいい」を超えて医療や教育や産業など幅広い分野と連携した社会実践とむすびつけるワークショップの方法を開発した。学会および研修会や講演を通じて、ビジュアル・ナラティヴに関するシンポジウムやワークショップを多く企画し、広い分野で関心を呼び起こした。その点に関しては、目的を達成し、当初の計画以上に進展したと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、今までの研究の総まとめを行い、次の4点に関して研究をすすめる。 1「かわいい」に限定せず、より広い事例をもとに、ビジュアル・ナラティヴの特徴を理論的に考察する。特に「言語」と「ビジュアル」によるナラティヴの相違や「ビジュアル」がもたらす利点について明確にする。 2「かわいい」を、「あわれ」「幽玄」「わび」「いき」などと並ぶ、日本文化の心理をあらわす美意識の一つとしてとらえ、それらを関係づけた心理的理論モデルを構築し、新しいデザインを提案する。 3ビジュアル・ナラティヴの多様な資料収集に加えて理論的・方法論的検討をすすめ、国際学会や国内学会において発表する。 4 ビジュアル・ナラティヴは、教育や支援や企業研修、ワークショップの方法として幅広く役立つと考えられるので、それらの実践を通じて社会貢献を行う。
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Causes of Carryover |
今年度は、当初予定していた物品費と人件費・謝金を予算の効率的執行により抑えることができた。次年度は、研究最終年度を迎えて成果を広く発信し,社会貢献するため、国際学会など学会発表の旅費として使用したい。
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Research Products
(20 results)