2016 Fiscal Year Research-status Report
15歳からの本格微生物研究 クラブ活動をプロフェッショナル育成の反応場とする試み
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16K12772
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Research Institution | Kure National College of Technology |
Principal Investigator |
木村 善一郎 呉工業高等専門学校, 環境都市工学分野, 助教 (60756617)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 微生物 / クラブ活動 / 研究者教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
未利用微生物資源を開拓し有効に利用していくために、各種微生物的手法に習熟した人材の拡充が求められている。現在のわが国において微生物学的手法は大学以降に習得することが通常である。筆者はこれよりも早い段階で微生物学的手法を学び研究する場として、高等専門学校のクラブ活動を研究組織として立ち上げ、微生物学のプロフェッショナル育成の場とすることを着想し、平成28年度は主として微生物新種提唱を教材として用いた微生物研究組織の創設に取り組んだ。 研究活動を開始するためにクラブを組織し、創設後は所属学生の手により環境中からの新種微生物分離に取り組んだ。実施項目は①培養培地作成技術習得、②微生物培養・無菌操作技術習得、③微生物DNA抽出・増幅・精製・配列解析技術習得、④分子系統学的解析技術習得、⑤ゲノムDNA交雑形成技術習得、⑥形態学的分類、⑦化学分析・分類技術習得とした。これらの技術は微生物学の基本中の基本となる実験技術であることから微生物学研究従事人材の教育教材として好適であると考えられ、実績として、所属学生に対し、上記実験技術を習得させることに成功した。所属学生は既に、上記実験をはじめとする微生物実験を自律的に行う能力を身に着けており、上記技術群の教材としての優秀さが実証できたと考えている。 また同時に高度な設備を必要としない微生物研究手法の開発に取り組み①簡易的に無菌環境を作成する方法の開発を行った。この研究は設備に左右されずに微生物を扱える環境づくりを目指すものであり、数台の空気清浄機、アルコールランプの併用により簡易的に清浄空間を作成可能であることを解明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
28年度研究計画の主たる取り組みである微生物研究教育活動においては、所属学生に微生物分類に関係する実験技術群を教授し、各人に実験技術を習得させることに成功した。所属学生による環境中からの微生物分離においては、16株の新種及び新属候補株の分離に成功した。現在各分離株の性質を調査中であり、終わり次第論文として投稿していく予定である。また、28年度は、次年度以降に実施予定であった「固相電気分離培養装置の開発」にも前倒して取り組み、試作機の改良に成功した。当該手法を用いることで既に4株の新規微生物株の分離に成功している。以上のように当初の想定以上の研究進度となったため、自己評価を区分(1)当初の計画以上に進展している。とした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は当初の予定通り研究を遂行するが、既に28年度の時点で大量の新種候補株が確保されたため、得られた株の新種提唱を中心に研究を遂行する。また、29年度においては2年目以降にクラブ組織に入部した学生を対象に、前年度入部学生が習得技術を教授する取り組みを実施する。同時に、前年度遂行した簡易的な微生物実験技術開発を引き続き行う。29年度は得られた塩基配列から簡易的に新種微生物であるかを判別するソフトウェア開発に取り組む(30年度まで)。更にこれらの成果をインターネット配信し、簡易に実施可能な微生物実験技術として発信する。 平成30年度においては筆者が考案した固相電気分離培養法を使用して、有用微生物資源の1種である電子資化性細菌分離に取り組む。このタスク遂行をもって、クラブ組織を未利用微生物資源にアクセスできる組織に成長させる。本実験内容については既に28年度において予定している実験成果の半分が既に得られているため、30年度においては電子資化性細菌の分離と系統的多様性についての知見収集を主たる実施内容とする。
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Causes of Carryover |
次年度使用額となった198871円は主として、28年度の研究遂行により獲得した新規微生物の同定に必要な最類縁株の購入に使用する予定であった。またそのために前倒し申請を行った。一部の株は国内の菌株保存機関で所有するものであったため購入することができたが、それ以外の多数の株は外国の機関からの取り寄せとなった。海外からの取り寄せは非常に時間がかかり、納期が3月末に間に合わないことが判明した。従って、上記予算を次年度に繰り越し、次年度以降に購入することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記理由から、平成29年度に新規微生物の同定に必要な最類縁株の購入に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)