2017 Fiscal Year Research-status Report
体内埋設インストゥルメントの経年劣化を探索評価するための広帯域超音波装置の開発
Project/Area Number |
16K12929
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
谷 重喜 浜松医科大学, 医学部, 教授 (80217116)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 脊髄ロッド / 金属疲労 / 非破壊検査 / シュミレーション / 音響レンズ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,体内に埋設された金属などの硬体部位の状態内部を非観血的に体外から超音波にて評価観察するものである.この目的から体内埋設対象物である硬体としてチタン合金の超音波による金属内部探傷検査を行っている.体内に埋設されたチタン合金として脊 髄ロッドが挙げられる。脊椎ロッドは屈曲した脊椎を伸ばした状態で脊椎に埋め込まれた固定ネジで架橋される。この時に脊椎ロッドは体幹の屈曲に対する曲げの圧力を頻繁に受ける。 上記した状況を精査するために破断した脊髄ロッドの破断面の評価を光学顕微鏡ならびに電子顕微鏡にて行うことを計画し、その観察を行った。小サイズのサンプル作成時における、切断加工の物理的影響の検証も必要であった。この物理的影響は圧力と裁断時の摩擦熱による影響である。これらを検証するための各種試料サンプルをチタン合金のロッドから小サイズのペレット状に加工した。光学顕微鏡による検鏡は、直接観察で評価を行ったが、電子顕微鏡観察では試料サンプルの確認行っているところである。 超音波装置の製作は、大きく超音波発信機、超音波受信機および超音波振動子(センサー)からなる。このセンサーは、直接脊椎ロッドに超音波を与えて内部からの反射信号を受信することになるため、超音波伝達のロスを減らすための加工を行った。この加工はロッドのサイズ系を考慮し、円柱状の曲面に沿うように音響レンズの働きを担う樹脂をセンサーに取り付け、脊椎ロッドとの超音波伝道の効率化を試みたものである。脊椎ロッドとセンサーと超音波的な間隙には、エコー検査用グリセリンで行ったが、人体への適応時には、さらに検証が必要である。 チタンロッドの電子顕微鏡観察で、金属疲労の起点部にノッチ状のくぼみがあることが判明していたことから、このノッチのくぼみの原因とチタンロッド(合金を含む)の硬度との関係をコンピュータシュミレーションにて解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計測するための対象物の条件設定を明確にするために、多くの条件を考慮して試料サンプルを作成した。この試料サンプルに対して金属疲労の状態を検証するための破断試験装置の製作に時間を要しているために計画がやや遅れている。破断試験装置は工業的な試験装置として存在しているが、脊椎の動きに近似した動きを再現するモデルケースに即した状態を作るためである。実モデルを多数製作することが困難であるため、この検証再現のためにコンピュータによるシュミレーションも採用した。 超音波装置に関しては、数MHzから数十MHzまでを発信並びに受信できる装置を用意した。この装置に脊椎ロッドに対して超音波を発信ならびに受診するセンサーとの整合性の検証や調整に計画した予定より、やや時間を要している。特に金属ロッドの形状に即した、音響レンズの製作には、物理的な加工と音響特性との両者が、大きく関係するために精密な作成に予定以上の時間が必要であった。
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Strategy for Future Research Activity |
測定対象となるサンプルと実態との乖離の有無を検証し、試料評価の正確度を増す研究を推進する。この精度を向上した試料サンプルの作成では、生体埋設金属への疲労度の周期などを人体が実際に屈曲するときの条件に即した繰り返し頻度でおこなった。実サンプルやモデルサンプルによる、この繰り返し疲労試験は重要であるが、想定以上に時間を要している。このためコンピューターによるシュミレーションの導入も含めて研究を進めているところである。 超音波装置については、サンプルの形状を考慮したセンサーの製作を優先していた。進捗状況欄にも記載したが、特に金属ロッドの形状に即した、音響レンズの製作には、物理的な加工と音響特性との両者が、大きく関係するために精密な作成に予定以上の時間が必要であった。特に表面が湾曲した試料との密着性の工夫や緩衝材の検討などを音響学的に透過な材料にて継続的に検討を行っている。
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Causes of Carryover |
研究遂行にあたり、追加的検証実験の必要性が生じたため。これは実サンプルによる試験に時間を要するため、効率の向上のためコンピュータによるシュミレーションなどを行うためである。
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