2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of expectorant assistive system induced by sound resonance on 3D respiratory tract model
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16K12947
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
市江 雅芳 東北大学, 医学系研究科, 教授 (20193427)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 音響 / 共鳴 / 気道 / 排痰 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度~今年度にかけて、予算内での実験遂行方法を多方面から検討した結果、市販されている気管内視鏡トレーニングモデル(高研LM-092)を用いて共鳴実験を行うこととした。また、共鳴による振動検知方法については、接触式では気管支モデルに取り付けるセンサーの質量が実験結果に影響を及ぼすことが懸念されたため、非接触式のレーザードップラー振動計を用いる他に方法がないという結論に至った。ただし、レーザードップラー振動計は購入するには数千万円という費用がかかるため、予算内で実験を遂行するため、Polytec製PSV-500スキャニング振動計をレンタルして実験を行うこととした。 実験は、気管支内視鏡トレーニングモデルの口側にスピーカーを取り付け、20,000Hzまでの音波によるホワイトノイズを発生させ、気管支モデル全体の振動状況を、レーザードップラー振動計を用いて多点同時計測を行った。 結果は、気管、気管支、細気管支など、部位によって共鳴周波数が異なった。気管支分岐部は、およそ200Hzで共鳴していることが分かった。この周波数は、平成15年度科研費(萌芽)の研究成果である気道の共鳴現象で観察されたイングリッシュ・ホルンの共鳴音の周波数に近く、本実験で用いた気管支内視鏡トレーニングモデルでの測定が、ある程度生体に反映させることができると考えられる。また、気管支分岐部より末梢では10倍以上の周波数で共鳴している現象が観察された。このことは、音波を変化させることによって気道の共鳴状態が変化することを示しており、排痰を促す可能性を示唆している。 予算の関係で当初の実験機材を変更して研究を遂行したが、「共鳴現象を利用した排痰システムの開発の可能性を示す」という本研究の目的は十分達成できたと考えられる。
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