2016 Fiscal Year Research-status Report
高位中枢の予測見込み的制御が激運動時の呼吸循環動態及び神経内分泌機能に及ぼす影響
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16K13023
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Research Institution | Morinomiya University of Medical Sciences |
Principal Investigator |
宮本 忠吉 森ノ宮医療大学, 保健医療学部, 教授 (40294136)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 真也 森ノ宮医療大学, 保健医療学部, 講師 (40616926)
中原 英博 森ノ宮医療大学, 保健医療学部, 准教授 (90514000)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | セントラルコマンド / 運動 / 回復 / 呼吸循環 / 高次脳機能 / フィードフォワード制御 / システム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は高位中枢神経系の予測・見込み制御が、高強度運動時及び回復期の呼吸循環代謝系及び神経内分泌系の動的応答特性に及ぼす影響をシステムバイオロジーを用いて明らかにすることを目的とし、高次脳機能制御機構の生体内での役割解明を目指す。初年度は、高次脳機能制御(見込み制御)が運動の準備期及び開始時の呼吸循環代謝反応のダイナミクスや最大運動パフォーマンスに及ぼす影響の解明を目的とし以下、二つのプロトコールを実施した。Protocol 1. 健常男性10名を対象として、10分間エルゴメーター上で座位安静後、2分間のステップ運動負荷(計12分間)を実施した。実験は以下の①~⑤条件をランダムに試行した。①安静条件、②カウンダウンあり低中強度負荷条件(50%WRmax強度)③カウンダウン[予告]あり条件下での高強度負荷運動(80%WRmax強度)、④カウンダウン[予告]あり条件下での高負荷運動開始直前に突然実験中止を指示、⑤カウンダウン[予告]なし条件下での突然の高負荷運動(80%WRmax強度)。 Protocol 2. 健常男性10名を対象として、Protocol 1と同様、10分間エルゴメーター上で座位安静後、疲労困憊に至るまでの全力ステップ運動負荷(100%WRmax強度)を実施する。実験は以下の①②条件下にて実施する。①カウンダウン[予告]あり条件下で全力ステップ運動負荷を実施、②カウンダウン[予告]なし条件下での突然の全力ステップ運動負荷の順序はランダムで実施。結果、運動準備期における高位中枢神経系の予測・見込み制御は運動時の生体応答の時間的遅れの補償に役立っている可能性が示された。しかし、個人差は認められたものの、最大運動パフォーマンスに及ぼす影響は認められなかった。また、運動開始初期の作業効率の改善に重要な役割を演じている可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の実施により、高位中枢による予測的・見込み的な制御は、運動負荷開始直後の循環応答の時間遅れを補償する重要な生理的メカニズムであると同時に、運動負荷に対する呼吸循環代謝機能の亢進や作業効率の改善に貢献している可能性が示唆された。本結論を導くに当たり、何度も予備実験や再現性に関する検証を行ったため、得られた成果は間違いないと思われる。この研究成果を土台に次の実験計画を周到に準備できると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は10分間エルゴメーター上で座位安静後、2分間のステップ運動負荷(計12分間)を実施し、運動後24分間の回復過程を含めた検討を実施する。実験条件は、①カウンダウン[予告]あり条件での高強度負荷運動(100%WRmax強度)、②カウンダウン[予告]なし条件での突然(運動直前5秒前からカウントダウンを開始)の高負荷運動(100%WRmax強度)の2条件をランダム順にて実施する。測定項目については、運動準備期から、回復期にかけて血圧、心拍数、呼吸及び代謝動態を連続測定し、超音波ドップラー法にて中大脳動脈血流速度を同時計測する。また、随時、静脈血採血(赤矢印)を実施し、代謝反応の指標として血中乳酸を、交感神経ドライブの指標として血中カテコラミン動態を調査し、[予告]あり、なしの両条件間で比較検討する。さらに、アセチレン法による心拍出量の測定も、安静、運動、回復期の各ポイントにて実施する。
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Causes of Carryover |
本年度の研究は、ほぼ予算額内で行うことができ、今年度研究目的もほぼ達成できた。残額5,050円は、次年度の研究計画の目的使途に応じて適正に役立てたい。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、採血による血液サンプルデータ解析を伴う実験を予定しているため、検体分析に要する費用として、予算計上を考えている。
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Research Products
(10 results)