2016 Fiscal Year Research-status Report
加齢に伴う筋萎縮状態克服を目標とする安心・安全な治療の基礎的検討
Project/Area Number |
16K13045
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
泰江 章博 徳島大学, 病院, 講師 (80380046)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | ゲノム編集 / CRISPR/Casシステム / 筋萎縮 / 筋肉量増大 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、高齢化に伴う運動器障害による生活の質(QOL)低下につれ、医学的治療を必要とする人口が増加傾向にあり、その対策は社会的にも重要課題である。しかし、加齢に伴う種々の要因により進行する筋萎縮・筋肉量減少(サルコペニア)は、そのメカニズム解明が困難であることから、治療法開発が進展しない。近年開発されたゲノム編集技術は、これまで困難だと考えられてきた遺伝子改変を容易にする生物学の常識を覆す革命的技術で、培養細胞系や受精卵のみならず、成体実験動物においても応用されている。 マイオスタチンはノックアウトマウスや家畜・ヒト変異体の表現型から、その応用による筋疾患撲滅が試みられてきた。しかしながら、マイオスタチン中和抗体やアンタゴニストといった易分解かつ生体膜透過性に乏しいタンパク/ペプチド製剤では期待した効果が得られなかった。そこで、本課題は、治療法開発の困難な加齢による筋力低下をターゲットに、現在も進化発展中であるゲノム編集技術(CRISPR/Casシステム)の安心・安全な利用を探索しつつ筋肉量増大を図り、要支援・要介護からの開放やQOL上昇を目指すことを目的とした。 これまでにマイオスタチン遺伝子を標的としたCRISPR/Casシステム用発現ベクターを構築し、標的配列破壊をin vitroの実験系において確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
哺乳類細胞用CRISPR/Casシステム適用プラスミドベクターであるpX330に、マイオスタチン標的配列を組込み、マウス由来細胞であるNIH3T3細胞へトランスフェクションを行った。標的配列破壊効果はダイレクトシーケンスならびにT7E1アッセイにて検証され、作製した複数のベクターにおいて、その効果が確認された。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでに構築し、標的配列破壊効果の確認されたプラスミドベクターをエレクトロポレーションにて局所筋肉へ導入し、生体におけるマイオスタチン遺伝子破壊を行う。片側咬筋および大腿四頭筋に導入し、コントロールである反対側同名筋にはランダム配列導入のベクターを用いる。 マイオスタチン遺伝子配列破壊の確認は、筋組織よりゲノムDNAを抽出し、標的周辺配列のPCRによる増幅~DNAシーケンスにより行う。また、マイオスタチン配列破壊による筋肉量増大効果は、過去に検証歴のあるコントロール側との筋重量比較、組織切片作製による筋線維肥大に加え、強制走行装置(トレッドミル)による運動量の面からも確認する。
|
Causes of Carryover |
研究の進捗状況が想定通りにならず、多くの動物や物品の購入に至らなかった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
動物購入ならびにそれに付随する飼育料、また物品購入に使用予定である。また、学会その他、成果発表にかかわる出張に使用される。
|