2017 Fiscal Year Annual Research Report
A comprehensive study on Palaeolithic voyage in the Ryukyu Islands
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16K13133
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
海部 陽介 独立行政法人国立科学博物館, 人類研究部, グループ長 (20280521)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 旧石器時代 / 航海術 / 琉球列島 |
Outline of Annual Research Achievements |
多彩な分野の専門家を招いて3度の研究会を行なった。2017年9月の1回目の研究会は、現在進行中の3つの研究・実験プロジェクト(台湾での竹筏舟製作、日本における古代舟研究史、丸木舟製作過程)についての経過を共有するとともに、琉球列島・対馬海峡・隠岐諸島・伊豆諸島・津軽海峡における先史時代の渡海証拠について整理することを目的として開催した。本研究の焦点は琉球列島における航海だが、その適切な理解のためには、周辺地域の状況についても理解も欠かせない。会議の結果、各所で頻繁な渡海が行われていた様子が再確認されたが、従来の議論はほぼ定性的(あったかなかったか)で、渡海の活発さを示すような定量的研究はなされていないことが浮き彫りになった。 2018年2月24-25日と3月21日の研究会では、旧石器時代の丸木舟の可能性を検討する上で必須と言える、縄文時代の丸木舟を理解するための議論にフォーカスした。全国で160艘ほど見つかっている縄文時代の丸木舟の研究はあまりなされていないが、についてレビューした。既知の舟の大多数は平水で利用されたものと思われるが、いくつかは外洋で使われた可能性がある。旧石器時代の外洋丸木舟を推定復元するなら、これらを参照すべきとの意見で一致した。さらに縄文時代の櫂について予備調査した成果を共有した。縄文時代の櫂には大きな変異があることが判明し、その原因について議論した。 全体の総まとめの一環として、岩波科学に、特集「海原を駆けた旧石器人」を組み、これまでの研究会参加者による6編の論文として出版した。連動している航海実験プロジェクト(3万年前の航海 徹底再現プロジェクト)のプランニングにもこれらを活かし、近日更新するそちらのウェブサイトに反映する予定である。
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Research Products
(5 results)