2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K13158
|
Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
保坂 俊司 中央大学, 総合政策学部, 教授 (80245274)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | シク教 / アマルダス / 宗教共存思想 / 中世インド |
Outline of Annual Research Achievements |
南アジアにおける宗教の対立と融合、さらにはイスラム・ヒンドゥーの共生、つまり異なる宗教の共生というテーマで、重要な存在であるシク教教団の実質的建設者アマルダスに関する現地調査を6~7月に実施し、デリー、パンジャブの関係寺院や研究所を訪問し、資料の収集を行った。また、アマルダス関係の文献の翻訳と検討を行い、宗教学会、早稲田大学大会(9月)において、アマルダスの思想に関する研究発表を行った。さらに、中世インドにおける初期のシク教社会をめぐるヒインドゥー・イスラム両社会に関する研究を、合わせて行った。 今回は、基礎的な研究でもあり、日本では全く研究実績のないアマルダス関係の研究領域ということで、特に、宗教・社会的な背景について歴史的な文献資料の収集に関しても、現地デリー大学の歴史、ウルドゥー語、イスラム学の研究者から情報提供を受けた。 その成果は、現在執筆中の書籍に掲載した。(2017年度中に刊行予定)さらに、本研究の周辺研究として、仏教、ヒンドゥー、イスラムの神秘主義との複雑な思想、社会関係を文献(バクティ、スーフィー文献)を検討することで、アマルダス思想の独自性と共通性の峻別を試みる基礎研究に取り掛かった。 さらに、国家と宗教という申請者の研究における南アジアの事例研究の一環として、シク教における権力と宗教権威の成立をアマルダスに絞って研究を進行した。さらに中世インドの思想・宗教研究全般にも研究を進めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、研究の進捗業況は、おおむね順調である。まず、インドでの調査は、長年の研究環境を生かすことができ、現地の協力者のバックアップが役立っている。また文献も手持ちのものに加えインドから重要な資料が入手できた。 さらにネットなどを通じて、アドバイスも直接受けられる環境にある。もちろん、現地調査に関しても、インド特有の事情もあり、アクシデントなどがあって当初の計画以上の成果は得られない部分もあるが、今後さらにこれを埋め合わせることは十分可能である。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度もインドに研究、調査を予定していいる。特にアマルダスとゆかりのパンジャブにおける事績を調査し、また当時の社会を知りえる文献、研究業績の収集を試みる。特に、今後の研究展開を予想し、広くヒンドゥー・イスラム融合思想との関係を一層深めてゆく計画である。 この領域が全体的にその重要性に比して、研究が不足しているので、今後の研究のためにも、広く研究のための資料の収集を行いたい。
|
Causes of Carryover |
インド滞在費が、寺院や大学等の施設を利用したために、また移動も現地の研究者の協力を得られため経費が大幅に節約できた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り越した研究は、さらにパンジャブやできれば(政情による)パキスタンの関係地域における研究調査に用いたい。
|
Research Products
(1 results)