2016 Fiscal Year Research-status Report
間芸術性の手法:文学・映画・演劇・展覧会の理論と実践
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16K13187
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
村田 真一 上智大学, 外国語学部, 教授 (00265555)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大平 陽一 天理大学, 国際学部, 教授 (20169056)
野中 進 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 教授 (60301090)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 間芸術性 / 文学 / 映画 / 演劇 / 展覧会 / アヴァンギャルド芸術 / 翻案 / 芸術の受容 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究テーマ「間芸術性の手法:文学・映画・演劇・展覧会の理論と実践」に基づき、芸術研究と芸術に関わる実践活動を通して芸術作品の翻案と受容を融合させるという研究目的を果たすための第一課題として、アヴァンギャルドの文学作品が演劇・映画・絵画・デザインに翻案され受容されていくプロセスと結果を構造的に分析した。 まず、研究代表者が、8月31日から9月2日にかけてセルビアのベオグラード大学でウクライナ科学アカデミーで開催された国際学会に出席し、A.タルコフスキー映画の表象と受容について問題提起した。 次に、研究代表者は、研究分担者および連携研究者と入念な準備をしたうえで、ロシアとウクライナのアヴァンギャルド芸術を素材にした国際セミナー「間芸術性の詩学と間芸術的分析の実践:アヴァンギャルドの文学創造・演劇・映画・音楽・造形芸術」を、11月12日に研究代表者が所属する上智大学で開催した。その際、ロシアより、N.ファチェーエヴァ、M.カラーシク、M.オルローヴァ、V.ミトゥーリチ=フレ―ブニコヴァ、V.ヴィユーギンの各氏を、ウクライナより、I.シャートヴァ、N.スルイマ、T.フンドロヴァの各氏を、セルビアより、K.イチン氏を招いて研究報告をしてもらった。いずれも世界のスラブ学の最前線で活躍する文学・芸術の研究者や芸術家である。そして、フロアに集まった約60名の研究者・大学院生・学生らと、間芸術性の基本問題をめぐって長時間にわたる熱のこもった討論を行なった。このセミナーの最大の成果は、間芸術性の概念の歴史的・空間的展開を理論的・実践的に明らかにし、将来的な発展のパースペクティヴを見通すことができたという点で翻案研究の中間報告となったことにある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究課題の第一段階であるアヴァンギャルド文学作品の翻案と受容の構造的分析を進めるにあたり、研究グループの個別研究のみならず、本テーマに詳しい学識経験者・芸術家などを海外3か国から9名招いた国際セミナー「間芸術性の詩学と間芸術的分析の実践:アヴァンギャルドの文学創造・演劇・映画・音楽・造形芸術」を11月に上智大学にて開催することができた。そして、フロアに集まった内外の研究者・院生・学生らと充実した討論が展開でき、芸術理論と実践の融合の分析に関して予想以上の成果が得られた。それだけでなく、3年目に研究成果発表のための学術雑誌の刊行へ向けて、海外の研究協力者と役割分担体制が確立され、出版の見通しや時期、予算などに関して、打ち合わせが順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年秋に開催した国際セミナーで得た成果をさらに深化させる目的で、平成29年度には、研究代表者が、ウクライナのフレーブニコフ国際フェスティバルに参加し、展覧会と舞台・映像における文学作品の視覚化の問題を検討するほか、観世流能楽師をウクライナへ派遣し、能の演技の実演をしてもらい、舞台芸術の実践・理論・受容に関して、研究代表者と公開討論する予定である。また、平成30年度には成果をまとめる国際シンポジウムを開催し、3年間の研究成果を学術雑誌にまとめる。
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Causes of Carryover |
11月12日に国際セミナーに来日予定だった海外の研究者が1名来日できなくなったため、旅費・滞在費の残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
9月の国際学会もしくは11月の国際フェスティバルに参加する渡航費の補助に充てる。
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Research Products
(13 results)