2018 Fiscal Year Annual Research Report
To create a new ethnography as self and others representation: Writing about the role and influence of the researcher on the research field
Project/Area Number |
16K13303
|
Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
吉田 早悠里 南山大学, 国際教養学部, 准教授 (20726773)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 文化人類学 / 民族誌 / 聖者信仰 / イスラーム / エチオピア / アクター |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、フィールドにおける調査者/文化人類学者を客体化して分析、記述の対象とし、自己/他者表象を実現した新たな民族誌を開拓することである。本研究は、研究代表者がエチオピア南西部に位置する集落において、同集落に暮らすムスリム聖者と集落の住民らを取りつなぐ代言者/「巫女」として遇されているという背景を基盤としている。そして、同集落における研究代表者の調査・研究と、代言者/「巫女」としての実践が、集落の人々の社会関係や実践に及ぼす影響について実証的に検討した。 2016年度、2017年度、2018年度の3年間、計4回の現地調査を実施した。まず、集落の成立と歴史、集落の住民構成、ムスリム聖者のライフヒストリーについて明らかにした。2018年度は、2018年12月20日~2019年1月8日に現地調査を実施し、研究代表者に対する集落の住民たちの眼差しと対応、そしてそれらの経時的な変化について観察と聞き取り調査を行った。調査からは、この集落では、ムスリム聖者が「将来、外国人と共に働く」という予言があったことが明らかになった。エチオピアの政権交代のもとで国内情勢が変化し、エチオピアが国際的に開いていくなかで、国際的にも外国人がエチオピアを訪れることが増え、同時に外国人研究者による調査・研究も活発になった。このような状況と、集落で共有されていた「外国人」に関する予言が結びつき、同集落を訪れた研究代表者が重要なアクターとして位置づけられることになったといえる。 今後は、この研究成果を民族誌としてまとめる。また、調査対象集落でみられるムスリム聖者を中心とする宗教的実践を、エチオピア国内および国際的なイスラームの動きのなかに位置づけて理解し、本研究を現代におけるムスリム聖者信仰に関する研究として発展させる予定である。
|
Research Products
(3 results)