2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K13351
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
竹内 幹 一橋大学, 大学院経済学研究科, 准教授 (50509148)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 実験経済学 / ゲーム理論 / ナッシュ均衡 / 混合戦略 / 昆虫 / 昆虫実験 / カブトムシ / 頭角 |
Outline of Annual Research Achievements |
カブトムシの闘争傾向を分析しナッシュ均衡の実証をするために、111頭のカブトムシを各4回(延べ444回)闘争させ、データ分析の準備にあたっている。 これまでは、2個体同士を対等に闘わせることでデータ採取していたので、観察データが必ずしも独立でなかった。なぜなら、ある個体の闘争傾向は、自身の頭角や体格だけでなく相手のそれにも依存するからだ。今回は、基準となる個体を設けて、その個体の四肢を取り去り、実験者がその個体を操作した。これによって、各個体の闘争傾向を個体間で比較することがより容易になった。あわせて、フォースゲージを使い各個体の筋力を測定し、これまでと同様に、個体の体格や頭角長を測定している。 これまでの分析結果から予想されるのは、体格に比べて頭角長が相対的に長い個体の闘争傾向が顕著に異なることであった。ところが、今回のサンプルでは、測定方法に問題があったためか、体格に比べて頭角長が相対的に長い個体の識別が困難であり、必ずしも予想通りの結果ではなかった。個体の乾燥が十分でなかったり、これまでと測定方法が異なることも考えられるため、この点について対策をとっている。 以上とは独立に、カブトムシの体格の決定が、幼虫時の栄養摂取状態にあることを実証するために、幼虫を114匹飼育し、栄養状態を統制し、羽化後にその影響を分析する予定である。 なお、平成29年2月には、それまでの研究結果を、台湾国立大学で開かれた、Economic Science Association (ESA=実験経済学の分野で最も代表的な国際学会)のアジア太平洋大会やセミナー等で報告し、コメントを受けた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
カブトムシ個体の測定方法について再検討が必要であるため、データ分析が完了しなかった。これまでの標本も含め、乾燥を完了させたのちに、複数人で全標本の再測定を統合して行う必要がある。 カブトムシの幼虫時の栄養摂取の差異が、成虫の体格に影響することを確認するために113頭の幼虫を飼育している。その飼育に、場所や器材等のリソースが予想以上にかかったため、計画に記載したコオロギの飼育準備を先延ばしにした。コオロギについては平成29年度から順次行うこととする。
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Strategy for Future Research Activity |
主に次の2点に注力する。1)カブトムシ個体の測定方法について再検討し、測定を完了させる。雄カブトムシの頭角長の分布がマクロレベルでの混合戦略均衡によるという実証までは概ね達成できた。これに加え、各個体に着目したミクロレベルの闘争傾向も混合戦略であり、その混合戦略均衡も分析すべきだとの指摘もあるので、その数理モデルを解くことにも取り組む。これを終えたのちに、論文投稿に向けて準備をすすめる。2)コオロギの闘争行動の観察にむけて準備をすすめる。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は、1万円未満で全体額の1%未満の端数である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
粛々と計画にそって使用する。
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Research Products
(2 results)