2017 Fiscal Year Research-status Report
次世代3次元建築情報プラットフォーム(BIM)とプロジェクトマネジメントの研究
Project/Area Number |
16K13386
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
泉 秀明 山口大学, 大学院技術経営研究科, 教授 (10595698)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | BIM / 取引コスト理論 / 比較制度分析 / プロジェクトマネジメントシステム / 設計施工分離方式 / コンストラクションマネジメント方式 / 設計施工方式 / Robotics |
Outline of Annual Research Achievements |
H28年度においては、工学的、社会科学的な見地から本研究の理論的基盤を構築した。H29年度においては、その理論的基盤を基に、本研究の対象であるBIMの国内外における使用実態の調査、及びBIMとBIMが関連する技術(主にRobotics)の発展普及に向けての活動を以下のように実施した。 ①.H.28年度にまとめた論文を、“日米建築業の比較制度分析“と題し、学術図書として白桃書房から 出版予定となり、H30年7月末上梓を目途に編集作業を実施。②.2017年5月28日に、古阪秀三立命館大学客員教授(元京都大学教授)を所長とする“建築システム社会研究所”の設立に参画し、建設業界の生産性向上に向けた提言を行う議論を開始(現在、議論を2か月に一度の割合で行い、その成果を2019年度5月を目途に共同で出版予定。)。③.筆者がコーディネートして開始された、べステラ株式会社・京都大学・山口大学間で実施している建設解体ロボット開発の成果を基本とし、某大学ベンチャーファンドリソースを使用したベンチャー会社を設立する計画を指導し、準備段階へ誘導。④.バンドン工科大学ビジネススクール・山口大学技術経営研究科の連携でMOT and Construction management修士号のダブルデッグリープログラムを実施することで、準備を進めており、BIMと建設ロボティクスの国際的なビジネス展開に向けたPBL型授業の採用の検討を開始。⑤.清水建設、日建設計、三機工業、三菱日立パワーシステムズ、東レ、大和ハウス等の大手企業、BIM研究者、3次元計測ビジネス業者等に対して、研究に関するプレゼンテーションとヒアリングを実施し、BIMの採用状況、技術の進歩状況、普及上の課題・問題点等を把握、確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
以下.理由を列挙する。①. H28年度に取り組んだ論文作成は、本研究の理論的基盤を構築するためのもので、そもそも博士論文や、学術図書として刊行することを意図してはいなかった。H28年度においては、神戸大学での博士号取得となり、H29年度においては、学術図書として発刊することが決定した。②.本研究の成果を公表する方法として、学会での発表に加えて、より実社会に公表し、実践的に有用なものとするために、“建築システム社会研究所”の設立に参画し、建築と経営を統合した実践的な研究成果を一般読者向けの本としてまとめることになった。③.筆者は、学術レベルだけでなく、より実践的に建設業界に貢献する方法として、産学連携(京都大学・山口大学・べステラ)による建設Roboticsの開発に関わっていたが、その研究成果をベースに、BIMとRobotics技術を融合した技術開発を行うベンチャー会社の起業に関与することを決定した。これは、Rigor & Relevance の典型例であると考える。④.インドネシアのバンドン工科大学ビジネススクールと山口大学技術経営研究科が連携して実施するマネジメント人材育成プログラムの一環として、コンストラクション・マネジメントプログラムを2020年度から開始することが内定し、筆者がコンストラクション・マネジメント科目を担当することで準備段階に入っている。研究成果をPBLを通じて国際的に行うための枠組みとして、本連携プログラムを活用していく。⑤当初の計画では、多数の建設企業へのアンケート調査を通じて、建設企業とのコンタクトを実施する予定であったが、多面的な調査、考察を行うために少数の建設企業に対して、より深く調査を行うことに変更した。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究は、建設業界にBIMが広く普及促進され、建築プロジェクト・マネジメント方式の改善が図られ、生産性向上が実現されることを意図するものであり、理論基盤の仮説構築と国内外建設業界のBIM使用実態の調査と分析による仮説の証明を行い、整理の上、学術論文として発表することが目的であった。 しかしながら、研究過程で様々な研究ネットワークとのリンクにより、①.理論基盤の仮説構築が博士号取得と学術本出版へと発展、②.建設業界への提言団体の設立と活動成果を教養本として出版、③.海外大学との建設ビジネス連携プログラムの準備開始④.BIM・Roboticsの統合技術によるソリューションビジネス起業への関与等々と、研究活動は、1年間の間に学術論文発表以上に研究成果の社会的還元へ向けて飛躍的成果を生じさせている。 最終年度のH30年度は、上記活動の一元的統合を意図して、以下の内容で活動を推進する。①.本研究の理論的基盤を紹介する学術本の出版に向け編集作業を実施する(白桃書房から8月出版予定)。②.建築社会システム研究所における活動の一環として、国内外におけるBIM&Roboticsの現状調査をまとめ、“最先端テクノロジーと建設業”というタイトル(仮題)で一般向け教養本として出版する準備活動を行う(H31年10月予定)③.BIM・Robotics技術の普及を意図し、某大学ベンチャーファンドリソースを使用し、ベンチャー会社を起業しようとするプロジェクトに対して、積極的に関与、運営していく。④.バンドン工科大学との連携プログラムにおける教育内容に関して、BIM・Roboticsとプロジェクト・マネジメントに関して、研究成果をベースに、教育プログラムを代表的な建設会社・設計事務所と共に纏めていく。 以上の活動のために、米国への海外出張(1回)、国内出張(10回程度)、並びに必要文献等の購入を行う。
|
Causes of Carryover |
H29年度に、BIMの米国事情を視察する計画(ジョージア工科大学、ワシントン大学、BIMの国際会議への参加)をしていたが、相手先大学とのスケジュール上の調整がつかず、米国出張は延期された。H30年度において、8月~12月の期間において実施予定である。
|