2017 Fiscal Year Research-status Report
植民地期台湾・朝鮮の国民教化装置に関する横断的調査研究
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16K13512
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
北村 嘉恵 北海道大学, 教育学研究院, 准教授 (20322779)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 和行 天理大学, 人間学部, 准教授 (00584799)
樋浦 郷子 国立歴史民俗博物館, 研究部, 准教授 (30631882)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 学校文書 / 学校沿革誌 / キリスト教会 / 神社 / 地域史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、「研究実施計画」に即して、以下のとおり進めた。 1.台湾南部(台南、嘉義)において、国民小学や個人・団体の所蔵する文書・写真・奉安庫等の調査を進めるとともに、関係者に聞き取り調査を行った(8月、3月)。所蔵者の逝去により一時中断していた元教員旧蔵資料群については、遺族の了解を得て作業を再開することができ、出版物(書籍)を除く全資料のデジタル撮影を終えることができた。現在その悉皆的な目録の作成を進行中である。これまでの調査の成果と課題を共有するため、国立台湾歴史博物館研究組組長と協議を行い、同館における調査・整理の方針について情報を得るとともに、今後の協力方法についても検討した。 2.韓国・国家記録院のデータベース等により学校資料の残存状況および内容を把握したうえで、韓国南部の数カ所(昌原、釜山)に調査地を絞りこみ、初等学校や韓国長老教会の所蔵する文書・写真等の閲覧および関係者への聞き取り調査を行った(8月)。実地調査において学校沿革誌の原本を確認することはできなかったが、とくに、学校創立以来の通時的な集合写真や学籍簿、普通学校生徒の帳面のほか、教会の牧師・長老会議の記録である「堂会録」(1900年代初頭~1960年代末)などの所蔵を確認し閲覧できた点で大きな進展が見られた。このうち許可の得られた資料についてはデジタルカメラにて撮影を行うとともに、仮目録を作成した。 3.主要資料のうち公刊許可の得られた学校沿革誌については、全文の翻刻を行い、解題を付して紙媒体および電子媒体で順次公刊し、幅広い共有化をはかるとともに調査地への成果還元につとめている。また、調査・分析より得られた知見は教育史学会等にて個別研究として発表し、論文として公刊を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文献調査により台湾・韓国の資料所蔵状況を把握したうえで、台湾南部および韓国南部に重点を置いた実地調査を段階的に進めてきた。中核的な資料として学校沿革誌4点の翻刻を解題とともに公刊し、さらに作業を継続中である。
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Strategy for Future Research Activity |
主要資料の翻刻・公刊および学術論文の執筆を継続するとともに、やや遅れている悉皆目録の作成を精力的に進める。中間的な成果報告・課題検討の場として予定していた台南でのワークショップについては、研究代表者の海外研修のため実施時期を最終年度に変更し、成果およびさらなる課題の共有化をはかる予定である。
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Causes of Carryover |
研究代表者が勤務校のサバティカル研修により北米滞在となり、3月に実施した台湾調査に加わることができなかった。当該調査は研究分担者により実施され計画全体には変更はないが、本年度使用額は予定より少なくなった。 本年度後半に成果共有化のワークショップ(台南)の経費として使用する予定である。
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Research Products
(6 results)