2016 Fiscal Year Research-status Report
キャンパスにおける文化的多様性への対応推進に向けた実証研究
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16K13544
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大西 晶子 東京大学, 日本語教育センター/国際センター, 准教授 (10436595)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | キャンパス風土 / 文化的多様性 / 留学生 / 国際化 |
Outline of Annual Research Achievements |
28年度は、国内外の高等教育機関において、多様性推進の取り組みがどのように展開してきたのかを、文献研究によって明らかにし、概念枠組みの整理を行った。さらに諸外国の高等教育機関において、文化的に多様な特徴を持つ学生のニーズに対して、どのように対応がなされているのかについて、情報を収集した。研究の成果の一部は、学会で報告し、研究論文にまとめ発表した。さらに多様なニーズに対して、キャンパスがどのような対応姿勢であるのかを捉える枠組みとして、キャンパスにおける多文化風土研究を参照し、主に米国において開発された、多文化風土の評価尺度について資料を収集、日本語への翻訳を行った。これらの文献研究の結果を踏まえ、日本の大学における多様性への対応状況を把握するために、スーテークホールダーに対する各種調査を開始した。まず日本の大学で学ぶ留学生を対象にインタビュー調査を実施、多文化対応状況を学生の視点から評価するための尺度作成に着手した。また特に大学院留学生に特有と思われる経験を聞き取り、留学生の多文化風土の評価に影響を及ぼす要因について検討を行った。さらに学生の多様性に対する日本の大学の、組織次元での取り組みの状況を把握するために、関連資料を収集し、質的・定性的な指標の抽出を行った。加えて国立大学の留学生支援の担当部署を対象に、留学生を対象とした学生調査の実施状況、実施の体制等についての質問紙調査を実施中である。今後これらを踏まえて、日本の大学における、文化的に多様なニーズに対する各次元の対応の状況を明らかにしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初28年度に予定していた、国外の専門家に対する聞き取り調査は、日本国内の状況把握を先行させる計画に変更したことから、29年度に実施予定である。当初は29年度に実施予定であった、留学生に対する聞き取り調査については、既に開始しており、全体的には概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度は28年度中に取り組んだ留学生を対象としたインタビュー調査等の結果をまとめ、学会で成果を発表する予定である。またキャンパスの国際化・多様性推進を担当する教職員、留学生とともに学ぶ国内生に対しても聞き取り調査を実施し、キャンパス風土に関する包括的なモデル構築を行う。さらに、28年度に作成した留学生向けのキャンパス多文化風土評価尺度について、項目を精査し、多言語への翻訳を行う。28年度に実施予定であった国外大学の状況についての訪問調査は、国内の大学の状況の把握についての分析を終えた段階で、多文化に対する組織的対応のあり方に関して、日本との比較が可能な大学を選択し、訪問先を選択後、実施する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた主な理由は、当初28年度中に予定していた海外調査を、29年度に先送りしたことによる。 今年度は、多様性推進の問題がどのような枠組みで捉えられているのか、文献研究や資料収集によって、日本国内と諸外国の高等教育機関の状況を把握することに注力した。比較研究によってより明確に焦点を絞れたことから、29年度には、それを踏まえて訪問先を決定する予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度実施しなかった海外調査を行うとともに、前倒しして開始した、留学生を対象とした調査、留学生担当教職員を対象とした調査を進める。またキャンパスの多文化風土の評価尺度の多言語への翻訳を行う。
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Research Products
(2 results)