2018 Fiscal Year Research-status Report
先進的手法を用いた宇宙流体シミュレーションの高速化
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16K13786
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
富田 賢吾 大阪大学, 理学研究科, 助教 (70772367)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 計算物理学 / 宇宙物理学 / 数値シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では宇宙物理学向け公開磁気流体シミュレーションコードAthena++の自己重力ソルバの開発とコード全体の高速化を進めている。本コードは米国Princeton大学を中心とする国際共同研究で開発を進めており、研究代表者はその開発の中心的役割を果たしている。今年度はコードの新バージョンの公開と論文の出版に向けてコードの全体的な最適化を行った。特に、不必要な演算を削減しメモリアクセスの最適化をすることで特に多数のコアを同時に使用する計算において従来よりも50%程度の高速化に成功した。開発したコードはこれまで同様にPrinceton大学のWebサイトにおいて公開すると同時に、研究代表者のWebサイトにおいても日本語でドキュメント及びサポートを提供している。また、不定期に本コードを用いた学生・若手研究者の指導も行っており、今年度はインド・ハイデラバードにおいて実習を含む大学院生向けのウィンタースクールを2日間実施し多数の参加者を得た。 更に本年度は、自己重力ソルバとして実装したFull Multigrid法を解適合細分化格子への拡張を進めた。これには異なる分解能の格子を整合的に扱うために、Full Approximation SchemeとMass-conservation formulaと呼ばれる手法を用いる必要があり、基礎的な設計を終え現在実装を進めている。またこのソルバを多様な問題に適用するためには柔軟な境界条件に対応する必要があり、その実装として多重極展開法とJames Methodの二種類の実装を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通りコードの開発と高速化を進めており、成果物のコードもWeb上で公開している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在コード全体に関する論文を執筆中であり、今年度の早い段階で出版できると考えている。前年度に引き続きコード開発を推し進め、Full Muitigrid法に基づく自己重力ソルバを解適合細分化格子へと対応させる。これが完了次第重力ソルバについての論文をまとめ投稿する。余裕があればこのソルバを他の物理過程、特に流束制限拡散近似に基づく輻射輸送計算等に拡張することも検討している。
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Causes of Carryover |
当初本研究費で大容量のハードディスクや共同研究のための旅費を拠出する予定であったが、研究内容が関連する他研究費から一部拠出することとしたため次年度使用額が生じた。本研究費は主として米国Princeton大学及びUniversity of Nevada, Las Vegas校とのシミュレーションコードの共同開発のための旅費として使用する予定である。
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Research Products
(12 results)