2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K13851
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川村 光 大阪大学, 理学研究科, 教授 (30153018)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 地震 / スロースリップ / バネ‐ブロックモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
地震現象の代表的な統計物理モデルとして知られるバネ-ブロックモデル(Burridge-Knopoff モデル)を、標準的な摩擦構成則である「速度状態依存摩擦則」と組み合わせたモデルを用いて、スロースリップ現象を含めた地震現象の物理を、主として数値シミュレーションによって調べている。前年度までの研究で、単純なバネ‐ブロックモデルにおいても、いくつかのモデル・パラメータを変化させることにより、通常の高速破壊地震のみならず、地震核形成過程、余効すべりやサイレント地震等のスロースリップ現象までが再現出来ることが明らかになった。 これを受け、平成29年度は、主として1次元のバネ‐ブロックモデルを用いて、モデルのスロースリップ現象の性質を精査した。特に余効すべり領域では、空間的に不均一なすべりが起きやすいこと、低速で伝搬する異常イベントが起きる場合があること等の新たな知見を得た。次年度に向けて、現在同様の計算を2次元モデルに拡張を進めている。離散モデルであるバネ-ブロックモデルの連続極限での性質には興味が持たれるところであるが、前年度までの摩擦不安適性が強いパラメータ領域に加えて、摩擦不安定性が弱いパラメータ領域でも計算を行い、モデルの連続極限でのスロースリップ現象の性質を明らかにした。余効すべりイベントやサイレント地震は、系全体を破壊する「全破壊」になりやすいが、現実のサイレント地震は比較的小規模なものが多い。サイレント地震の停止が何によってもたらされるかに関する知見を得るべく、平成29年度は、空間的な不均一性(不純物)がスロースリップの進行に対して及ぼす影響を系統的に調べた。その結果、サイレント地震を停止させる役割を果たす不均一性のタイプを明らかにすることが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通りに進展している。1次元バネ‐ブロックモデルのスロースリップ現象を、連続極限を含めた広いパラメータ領域で精査するシミュレーションを完遂した他、不均一性がスロースリップの進行に及ぼす効果についても、不均一系に関する数値シミュレーションにより、新たに多くの知見が得られた。また、1次元バネ‐ブロックモデルのスロースリップ現象に関する学術論文を執筆、受理された。近日中に公刊予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
予定通りに進展している。1次元バネ‐ブロックモデルのスロースリップ現象を、連続極限を含めた広いパラメータ領域で精査するシミュレーションを完遂した他、不均一性がスロースリップの進行に及ぼす効果についても、不均一系に関する数値シミュレーションにより、新たに多くの知見が得られた。また、1次元バネ‐ブロックモデルのスロースリップ現象に関する学術論文を執筆、最近公刊された。
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Causes of Carryover |
29年度は旅費の支出が主なものであった。学会参加や学会発表を通して、関連の情報を得ることが出来た。最終30年度については、それらの知見に基づき、本計画の課題である2次元モデルの高速破壊現象や、1次元・2次元モデルにおけるスロースリップ現象に関する3年間の研究成果を学術論文にまとめるべく、その際に必要となる詰めの計算やデータ解析のための経費、成果発表のための学会参加費用や旅費、最新の研究情報を得るための講演謝金等に充てる計画である。
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Research Products
(6 results)