2016 Fiscal Year Annual Research Report
A Novel Catalysis of Photoexcited Ketones
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16K13950
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
浦口 大輔 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (70426328)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 光触媒 / ケトン / イミン |
Outline of Annual Research Achievements |
光励起ケトンをラジカル触媒とする反応開発と機構解析に基づく触媒機能の理解を並行して行った。具体的には、ビニルシクロプロパンと電子豊富オレフィンの[2+3]型環化付加反応をモデルとして、近紫外光により励起されたケトンが触媒として働くかを調べるところから着手し、触媒あるいは基質の構造修飾を通して反応の効率化を行った。また、光励起ケトンの水素引き抜き能を利用したエナンチオ選択的反応の開発に成功し、反応条件の最適化に取り組んだ。一方、検討の過程で、類似の構造をもつ光励起イミンがケトンとは異なる挙動を示すことに気づき詳細な解析を行ったところ、これまで全く知られていなかった光触媒機能の存在を実験化学的に明らかにすることに成功した。窒素上に置換基をもつためにケトンよりも構造多様性をもつイミンから光触媒としての力を引き出した本成果は、光化学に新しい領域を拓き得るものになると期待される。特に、有機材料化学分野で重要とされる「電荷分離状態の安定化」の概念を触媒設計指針として採用し、光触媒の開発につなげた戦略の汎用性は高く、実際、これに基づく光励起イミンの構造修飾と触媒機能の評価を推し進める中で、可視光照射下での原子移動型ラジカル付加を効率よく促進する分子を見出している。基質側の構造修飾によるラジカル中間体の寿命伸長という考え方を基盤とした新反応の開発については、設計した分子の合成が難しいことが多く、研究期間内に明確な成果につなげることはできなかった。
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Research Products
(1 results)