2016 Fiscal Year Research-status Report
圧縮強さ100MPaを超えるスーパー繊維強化氷(FRI)の開発
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16K14138
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Research Institution | Kokushikan University |
Principal Investigator |
大橋 隆弘 国士舘大学, 理工学部, 教授 (80277821)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 複合材 / 氷 / ガラス繊維 |
Outline of Annual Research Achievements |
材料試験機(オートグラフ)恒温槽を導入し、恒温(低温)一軸圧縮引張試験環境を整備した。ガラス繊維について、繊維の混合・凝固法について次の3つの混合法を試し、繊維の分散性、圧縮強さの評価を行った。 (1)水と繊維を混合した後、水中に繊維が均一に分散するよう撹拌および繊維の離解処理を行った後に、凝固させる。(2)氷片と繊維を均一に混合し、混合中に接着剤の役割をする水を加えて凝固させる。(3)氷と水からなる半溶融スラリー中に繊維を均一に混合し、その後、疎水性繊維の凝集や比重の違いによる繊維の浮沈の運動より早く、素早く凝固させる。 (1)について繊維濃度が高い場合は、混合の均一性に顕著な問題は見られなかった。これは繊維に強度があり、複雑に繊維同士がからまることで構造を形成して繊維の沈殿等は起きなかったためであると考えている。一方で凝固時の体積膨張が原因となって、未凝固の水が繊維間からスクイーズされて、試験片の表層に氷だけの層を形成することが観察された。この層は脆化の原因となるので試験片作成後に除去加工した。(2)、(3)については(1)に比べて強度低下がみられた。そこで上記のうち、(1)について、配合比を5種以上に変えた繊維強化氷を製作し、圧縮強さ、熱伝導率、応力ひずみ線図のデータを得た。 上記条件において、当初目標としていた圧縮強さ100MPa超の繊維強化氷は得られなかった。これは繊維と氷の接着強度が弱いことが原因と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初5月導入を予定していた恒温槽が、学内で予算が執行可となるまでの時間の遅れ、および、既存引張試験機との適合性を満たす機器選定・見積もりおよび工事手配に業者側の誤りがあったことが理由で再工事が必要となったことにより、機器据え付け12月7日、引き渡し機器説明が1月13日(納入日1月12日)になり、大幅に遅れた。再工事は業者側の誤りが原因であったので、その分は業者側負担で行った。導入後に加速的に実験を行い、遅れをある程度取り戻した。しかしながら、当初ガラス繊維とアラミド繊維の試験を行う予定であったが、ガラス繊維のみが完了している状況である。引き続き加速的に実験を行い、9月までに遅れを取り戻したい。
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Strategy for Future Research Activity |
アラミド繊維は親水性であるため、氷との間にガラス繊維より高い接着強度を得られると考えられ、実験を加速的に進める。また、従来の実験でパルプ繊維で40MPaの圧縮強さが得られたので、類似の繊維でより高強度の繊維として知られるナノセルロースについても、評価を追加する。これを当初30年計画にあるガラス繊維およびアラミド繊維と比較する「有望な繊維」とする。
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Causes of Carryover |
当初導入を予定していた恒温槽が、既存設備(引張試験機、ビデオ伸び計)への適合性に問題があることが明らかになり、より高価な機種を導入せざるを得なくなった。その費用をねん出するため、当初予定していた実験補助者の雇用および旅費を充当した。また、導入に際し再工事が必要となり、導入が12月7日据付・引渡し説明1月13日(納入日1月12日)まで遅れたため、計画に遅れが生じ、当初予定していたアラミド繊維を用いた実験が実施できなかった。ガラス繊維分については安価であったことと、計画の遅れを取り戻すため執行を急いだので、上記金額の確定作業と並行して、学内予算を充当して購入した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
計画の遅れに伴って生じた208,000円の平成28年度残額は物品費に充当し、アラミド繊維を用いた実験の繊維試料調達に使用し、当初予定からの遅れを取り戻すように実験を実施する。それに加えて当初計画の平成29年度物品費100,000円分は,当初計画通り炭素繊維を用いた実験のための繊維試料調達に使用する. ※平成29年度使用計画(物品費 308,000円(内訳:アラミド繊維 500g 208,000円, 炭素繊維 1kg 100,000円),旅費 0円,人件費・謝金 0円,その他 0円,直接経費合計 308,000円)
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Research Products
(3 results)