2016 Fiscal Year Research-status Report
都市鉄道の輸送力増強投資額を激減させる超高頻度運行システムの可能性
Project/Area Number |
16K14323
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
岩倉 成志 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (20223373)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 都市鉄道 / 超高頻度運行 / 信号保安 / 移動閉そく / エージェントシミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度の研究課題は、[課題1]大手民鉄及び国内鉄道信号メーカーへのヒアリングに基づく輸送力増強技術の整理、[課題2]逐次選択モデルによる緩急行接続の乗換需要の推計および効用水準の推計である。なお、平成29年度の研究課題は[課題3]移動閉そく等信号システムの改良による運行頻度の増加可能性の検討である。 平成28年度の研究実績は、上記の課題1および課題3を行った。課題2は平成29年度の実施する。 [課題1]は、JR東日本、東京メトロ、東武鉄道などの大手鉄道会社11社にヒアリングを行い、それらをテキストデータ化し、各社の技術の相違を分析することができた。[課題3]は、一つは列車遅延連鎖シミュレーションによる方法,もう一つは運転曲線図(ランカーブ)を用いて理論的に運行本数増加を解析する方法でおこなった。本来は、[課題2]で構築した需要モデルと統合した遅延連鎖シュミレーションを行う予定であったが、まず高頻度運行の潜在的可能性を大枠で把握するため、運転曲線による理論解析とシミュレーションを行い、超高頻度運行の検討を行った。[課題2]を後回しにしたのは、超高頻度運転にした場合の適正なダイヤの策定を、(株)東芝と共同で研究した後の方が効率が良いためである。 現時点の[課題3]の結論は、100秒間隔の運行の可能性はあるということである。田園都市線ー半蔵門線をケーススタディとして分析しているが、渋谷駅がボトルネックとなって90秒間隔が達成できないことも明らかになっている。なお、この点はホーム増設によって改善できる可能性がわかっており、今後の検討課題となっている。 さらに、モスクワ地下鉄の複数路線において追込み時間と停車時間、運行間隔の調査を行い、概ね平均100秒間隔で正規分布することも明らかにしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の自己評価理由は、[課題1]のおいて、JR東日本、東京メトロ、東武鉄道などの大手鉄道会社11社の輸送力増強技術の相違を分析することができたこと、また移動閉そく信号保安システムを検討している数社から、その特性や課題を知りえた。[課題3]において、列車遅延連鎖シミュレーションと運転曲線図を用いた理論解析によって100秒間隔の運行の可能性はあるということが判明したことである。加えて、90秒間隔で運行されているといわれているモスクワ地下鉄の複数路線が、実際は概ね平均100秒間隔で正規分布しいている実態や追込み時間が測定されたことは、研究成果の妥当性を推し量る上で価値があった。 [課題3]の検討を先行させたことで、[課題2]のモデリングの重要性もさることながら、(株)東芝との共同研究の道筋がつき、90秒間隔の適正ダイヤを検討できる素地ができたこと、さらに渋谷駅がボトルネックになることから、ボトルネック解消策の検討課題が抽出できたことは平成29年度の研究計画上、有意義な示唆を得ることができたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、平成28年度の計画の[課題2]逐次選択モデルによる緩急行接続の乗換需要の推計および効用水準の推計を実施するとともに、適正ダイヤの検討、ボトルネック駅の改善策の検討、さらに遅延が生じた場合のその拡散の程度の検討を行うこととなる。 引き続き、鉄道会社や信号会社との議論も深めたい。平成28年度には電気学会・機械学会、土木学会が共催する鉄道技術連合シンポジウムにおいても髙い評価と有益なサゼッションが与えられおり、平成29年度も土木学会土木計画学春大会ならび電気学会産業応用部門大会への論文投稿を進めており、多くの識者との議論を行い、それを研究にフィードバックする予定である。 また、海外の都市鉄道の運行間隔調査についても研究結果の妥当性の検証に役立つことから、90秒間隔あるいはそれに近い運行をしている数都市での調査を進めたい。
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Causes of Carryover |
主な理由は、当初購入予定していたコンピュータを、当研究室で作成しているシミュレーションプログラムの実行により即したコンピュータに変更したことによって206,000円減額できた。これが差額の99%を占める。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初計画より学会発表回数を増やす計画としており、使用差額はこれに充てられる。
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Research Products
(9 results)