2016 Fiscal Year Research-status Report
光交流式ヘテロダイン干渉法の提案と宇宙用超低熱歪材のナノスケール熱的寸法安定評価
Project/Area Number |
16K14509
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
小川 博之 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 教授 (60311172)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長野 方星 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (10435810)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 光ヘテロダイン干渉計 / 線膨張係数 / 熱伝導率 / 熱的寸法安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
高度な熱歪設計を達成するためには,高精度な「線膨張係数」と「熱伝導率」とその温度依存性情報に基づくナノメートルオーダーの熱的寸法安定性評価が不可欠となる。しかし,これまで材料自身の熱的寸法安定性を広い温度範囲で総合的に評価する手法は無く,線膨張係数と熱伝導率は個別に求められてきた。そこで本研究は,光ヘテロダイン干渉法と周期加熱法を融合した全く新しい手法により,ナノメートルオーダーの熱的寸法安定性を総合的に評価できる技術を確立し,宇宙観測機器や精密光学素子などの熱歪解析・設計・制御の高度化,技術革新をもたらすことを研究目的とする。一年目は,本研究の主軸となる,線膨張係数,熱拡散率,比熱を同時に測定する干渉計と光学システムの構築ならびに大気・室温環境下における実現性確認を行った。 まず大気雰囲気で室温用の光ヘテロダイン干渉計を構築し,新たに周期加熱理論を導入し,熱拡散率の測定ができるシステムを構築した。 次に線膨張係数と熱伝導率を同時に測定できるように,試料ホルダーの設計,製作を行った。 2相式の高精度ロックインアンプおよびナノボルトメータを用いて,室温付近,大気環境下で線膨張係数と熱拡散率の予備的測定を行った。 標準材料として,単結晶シリコンを用いた計測を室温~100℃の温度範囲で線膨張係数の測定を行った。その結果,50℃以上では推奨値と良好な一致が見られた,一方で室温付近では20%程度の差が生じた。計測の不確かさの原因について調査し,試料とミラーの平面度,大気の揺らぎ,ならびに温度測定誤差に起因するものとの結論に至った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度目標である基本装置を構築し,測定が実施できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
真空環境下で広い温度範囲で測定を行うための真空加熱冷却システムを構築し,本装置を用いた計測システムを完成させ,低熱歪材料を用いた実測を行う。その後宇宙用低熱歪候補材料への適用を図り,その有効性の確認を行う。
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Causes of Carryover |
物品費に端数が生じたため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
少額のため併せて使用する.
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