2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K14633
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
世良 貴史 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (10362443)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 遺伝子導入 |
Outline of Annual Research Achievements |
必要なタンパク質を正常に作れないために病気を発症する多くの患者を、遺伝子治療により救済することができる。その際、治療遺伝子をゲノム中に挿入できれば、一度導入するだけで細胞分裂してもその後ずっと細胞内に維持されるので最も都合がよく、遺伝子治療用ベクターとして(逆転写により遺伝子DNAをヒトゲノムに挿入できる)レトロウイルスベクターが最も有望視された。しかしながら、このベクターを用いて1999年にフランスで行われた臨床試験において、標的の遺伝病は治療できたが、その後数名の患者で新たに白血病が発病したため、遺伝子治療はストップした。その原因は、ランダムと考えられていたレトロウイルスベクターによる遺伝子導入が、実際はヒトゲノム上の特定の場所に挿入されることにより、健常者では低く抑えられていた内在性の遺伝子が強発現されるように変化しために白血病が発症されることが分かった。そこで本研究では、レトロウイルスベクターの欠点を克服するために、内在性遺伝子発現レベルに影響を与えないようなゲノム上の安全な場所に特異的に治療遺伝子を導入することを可能にする新たな技術の開発を目指している。そのため、本年度では、昨年度デザイン・作製した人工タンパク質の性能の再現性の確認を、試験管内でのアッセイ系を用いて継続して行った。それと並行して、ヒト培養細胞での位置特異的に遺伝子を導入するシステムの構築を開始した。まず、必要な2種類のタンパク質の発現ベクターをクローニングし、塩基配列を確認した。それぞれのベクターをヒト培養細胞に導入し、各目的タンパク質の発現をウェスタンブロットで評価した。その結果、一つのタンパク質の発現は見られたが、もう一つのタンパク質の発現は確認できなかった。そのため、その発現ベクターを改良したところ、最終的に目的タンパク質の発現を確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね計画通りに進んでいるため、現時点で特に問題はないと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通りに本年度も実験を進めていく。
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Causes of Carryover |
(理由)当初の計画よりも、試薬等を予想以上に節約できたため。
(使用計画)節約分は、最終年度に計画している動物細胞実験に回したいと考えている。高価な血清や遺伝子導入試薬を多く必要としている。さらに、当初の申請予算に比べて、実際に配分されたのはその6割であるため、予算が最終的に余ることはない。
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