2018 Fiscal Year Annual Research Report
Systems Biology of Minority and Majority of Cells
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16K14703
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小松崎 民樹 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (30270549)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 情報理論 / バイオイメージング / トランススケーラブル / 個性 / 細胞性粘菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞の集団運動は、癌の成長、創傷治癒、器官発生といった多くの生物学的過程において重要である。例えば、アメーバDictyostelium discoideum(Dicty)は飢餓状態になると化学物質cAMPを周囲に放出することを通して近隣の他の細胞と相互作用する。その結果、反応拡散系で有名なベロウソフ・ジャボチンスキー反応のような、細胞群を通るらせん波のパターンを生み出すことが知られている。本研究課題では、最初にcAMPを放出する少数のリーダー細胞とそのcAMPに呼応して自身もcAMPを放出するフォロワー細胞から生じる細胞集団運動の間の因果関係を画像情報だけから抽出・推定することを目的として研究を進めてきた。 当該年度は、鳥などの集団運動を扱うVicsekモデルを変形し、異なる相互作用関係を陽に入れたシミュレーションモデルを考案し、その相互作用関係を移動エントロピー、固有情報量(intrinsic information)、共有情報量(shared information)、シナジー情報量(synergistic information)から同定可能であるかを検討した。移動エントロピーは、ある確率変数X(n)のみを知ったときに次の時刻で生じるX(n+1)のもつ不確かさ度が、別の確率変数Y(n)も知ることで、どれくらい減少するかを評価することで、YからXへの因果律を推定するものであり因果推論において最もよく用いられている。近年、移動イントロピーのなかにはX(n)からX(n+1)への情報伝搬も含まれているため、純粋にYからXへの固有情報量だけを取り扱っていないことが示唆されている。我々は、モデル系に加える摂動(ノイズ)の大きさに依存して、それらの割合が顕著に変化することを見いだし、移動エントロピーによる因果推論を正しく行うために注意を要することを明らかにした。
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Research Products
(19 results)