2016 Fiscal Year Research-status Report
有害元素と栄養元素の選択的な長距離輸送を達成する分子育種
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16K14873
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
浦口 晋平 北里大学, 薬学部, 講師 (20638837)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 有害元素 / 植物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,重金属輸送体や重金属リガンドであるファイトケラチン(PC)の合成酵素(PCS)の機能改変によって,植物体あるいはその可食部への有害元素の蓄積を排除しつつ必須ミネラルを選択的に輸送する分子育種を目指すものである。本年度は,(1)重金属輸送体の活性測定系の新規構築および(2)OsPCSのいくつかの分子種について活性評価を行った。 (1)については,コムギの無細胞タンパク合成系を用い,カドミウムの排出活性を示すイネの輸送体であるOsLCT1をターゲットとして,プロテオリポソームの合成とカドミウム排出活性測定系の構築を試みた。結果として,野生型OsLCT1を含むプロテオリポソームの合成に成功した。得られたプロテオリポソームを用いて様々な条件でカドミウム輸送活性を検討したが,野生型OsLCT1のカドミウム輸送活性を検出する条件を見出すことはできなかった。 (2)のイネのPC合成酵素であるOsPCSの様々な分子種については,カドミウム,亜ヒ酸に対する応答を解析した。活性測定には,分裂酵母,シロイヌナズナのPCS変異株にOsPCSを導入した発現系を用いた。N末端側の触媒領域あるいはC末端側の機能未知領域を両方備えるOsPCS分子種,あるいはそれぞれの領域が様々なパターンで欠失したようなOsPCS分子種の活性を調べたところ,N末端触媒領域に加えて,C末端領域を備えていることがカドミウム,亜ヒ酸に応答したPCS活性に必要であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していたプロテオリポソームを用いたカドミウム輸送活性の評価系の構築について,主なターゲットであったOsLCT1を用いて試み,プロテオリポソームの安定的な合成に成功した。本研究のもう一つの主要な項目であるファイトケラチン合成酵素の解析については,カドミウム,亜ヒ酸に応答した活性に必要な領域について示唆を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
プロテオリポソームの実験系について,OsLCT1の野生型株で輸送活性を見出すことができていないことから,当初の計画にあった変異株等の輸送活性解析よりもPCSの解析に重点を置く。PCSに関しては本年度,元素によって活性に必要な配列・領域が異なることが示唆されたため,次年度からシロイヌナズナ(AtPCS1)について詳細な解析を進めていく予定である。成果について論文として発表することを目標とする。
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Research Products
(2 results)