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2016 Fiscal Year Research-status Report

物質循環促進型垂下養殖施設の自律運用管理を通した環境再生型漁業の創成

Research Project

Project/Area Number 16K14975
Research InstitutionFukui Prefectural University

Principal Investigator

瀬戸 雅文  福井県立大学, 海洋生物資源学部, 教授 (60360020)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2019-03-31
Keywords養殖施設
Outline of Annual Research Achievements

二枚貝の垂下養殖で使用される丸カゴの代表径を連続的に変化させながら垂下方向に連結し、施設の外形をテーパ型に形成することにより、施設後流域に上下混合流が発生するメカニズムおよび混合特性について水理模型実験を実施して解明した。亜臨界レイノルズ数領域に垂下した施設の実用上の適応範囲を考慮して、テーパ比を0.05~0.2、施設長手方向と鉛直方向のなす傾斜角を0~20°まで変化させたところ、テーパ比が0.15付近で上下混合流の流速振幅はピークをとり、主流流速の0.6倍程度まで発達した。さらに、流速振幅は傾斜角0.1rad付近で最小値をとり上下混合も停滞した。テーパ施設の後流域における渦の吐出に伴う変動流速は、単一周波数をピークとしたワイドバンドなスペクトル分布をとり、テーパ径によらず長手方向にストローハル数で0.19程度を維持した。すなわち、テーパ施設の後流域ではテーパ径に応じてカルマン渦の発生周期がスパン方向に変化し、これに応じて主流と直交する流速の水平成分もスパン方向にシアー流を形成し、シアー流に駆動された非対称型の一対の渦列が施設背後にスパン方向に発生した。施設背後の左側の渦列は反時計周り、右側の渦列は時計周りに回転し、これら鉛直渦に駆動される形で、渦列を縫うようにスネーク状の上昇流が発生し、渦列の左右外縁には下降流が形成された。左右の渦列の配置間隔は、後流逆流域の後端でゼロに漸近し上下混合流も減衰することから、渦列の形成特性をもとにテーパ施設の上下混合促進機能を定量化できた。続いて、鉛直循環式二層流振動流水槽を用いて密度差0.23~1.17kg/m3の範囲内で定常二層流を形成後、密度躍層を貫いてテーパ施設を配置し、上下混合流の形成状況を注入トレーサ法より解析することにより密度勾配に応じで最適テーパ比が増加することなどが確認された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

交付申請書に記載した平成28年度の主要な研究項目は、テーパ型垂下養殖施設における鉛直混合促進条件の解明である。当該年度に実施した研究では、丸カゴの代表径を連続的に変化させながら垂下方向に連結することや、流れにより施設が傾斜することを想定し、テーパ比を段階的に変化させたテーパ型施設模型を形成し、トレーサ粒子を拡散させた水槽の観測部に下方が凸になるように垂下し、主流流速や施設の傾斜角を段階的に変化させながら一様流を作用し、低密度PIV法を用いて施設模型周辺の流れ場を可視化解析し、上下混合促進効果の発生機構や効果を最大化するための施設の諸条件を解明できた。
続いて、水槽観測部に二層流を形成後、顕著な上下混合流が認められたテーパ型施設模型を、躍層を貫いて設置し、注入トレーサ法により、主流流速、密度勾配、施設の躍層貫入深度を段階的に変化させながら施設模型周辺の流れ場を可視化解析し、成層強度低減効果の発現に関わるパラメータを抽出できた。成層条件および施設の複列配置に対する検討は、当初の計画どおり次年度も引き続き実施する予定であり、研究は概ね順調に進展している。

Strategy for Future Research Activity

平成29年度は、成層条件および施設の複列配置に対する検討を引き続き実施するとともに、本研究で開発した垂下養殖施設を用いて自律運用管理サイクルを運用するために必要となる、実海域を対象とした上下混合動態予測モデルの開発に着手する。
能取湖をモデルケースとして、湖内に水温躍層が発達し外海水が湖内中層に進入する7月上旬~9月上旬と、底層進入に切り替わり青潮を誘発する9月中旬~10月上旬に大別した上で、フル3次元流動場解析モデルと生態系モデルを用いて貧酸素水塊の動態と養殖施設による物質循環促進効果を推定可能な上下混合動態予測モデルを開発する。計算では、能取湖およびオホーツク海周辺海域を三次元グリッドに分割し、密度躍層の上層厚、貧酸素層の深度、および上下層の密度差で構成される座標空間内で夏季成層期の貧酸素水塊の挙動を、上下層の密度差と貧酸素層の深度で構成される座標平面上で青潮発生期の貧酸素水塊の挙動を感度解析する。湖内水域面積の約16%を占める垂下養殖施設が湖内流動に及ぼす影響については、流水透過率と鉛直混合促進効果を生態系モデルに取り込み反映させる。さらに、当該域で中間育成されるホタテガイ0齢貝を対象に、混合ガスボンベ法を用いて、DO濃度、飼育水温を可変しながら貧酸素耐性実験を実施し、貧酸素水塊による本種稚貝の致死条件を解析する。

Research Products

(1 results)

All 2016

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] テーパ付き円柱構造物の上下混合促進機構2016

    • Author(s)
      瀬戸 雅文
    • Organizer
      日本水産工学会
    • Place of Presentation
      福井県立大学小浜キャンパス(福井県小浜市)
    • Year and Date
      2016-12-03

URL: 

Published: 2018-01-16  

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