2017 Fiscal Year Annual Research Report
Identification of MSC subpopulations that have therapeutic potential for neurodegenerative disorders
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16K15033
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
堀内 基広 北海道大学, 獣医学研究院, 教授 (30219216)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 間葉系幹細胞 / プリオン病 / 神経変性疾患 / 治療効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は、プリオンChandler株感染マウスの海馬に緻密骨由来MSCs (CB-MSCs) を移植したマウスでは、生存期間が168日(陰性対照:155日)と有意に延長したが、脂肪組織由来MSCs (AT-MSCs) を移植したマウスでは、生存期間が154日(陰性対照:155日)と延長は認められないことを明らかにした。 プリオン感染マウスに移植したCB-MSCsを回収し、遺伝子発現の変化からMSCsの分化転換を解析する予定で研究を進めたが、蛍光標識したCB-MSCsの回収効率が低く移植脳内からのCB-MSCsの回収は断念した。そこで、CB-MSCsをin vitroでプリオン感染マウス脳抽出液で刺激し、遺伝子発現の変化を調べた。神経栄養因子等(NGF, VEGF, HGF) の発現を調べたが、非感染脳抽出液で処理したCB-MSCsあるいは未処理のCB-MSCsと差は認められなかった。プリオン感染マウス脳抽出液で刺激したCB-MSCsではCOX-2の発現が特異的に上昇したことから、CB-MSCsは神経細胞系への分化転換を起こすのではなく、免疫修飾により治療効果を発揮することが示唆された。そこで、当初計画を変更して、CB-MSCsを移植したプリオン感染マウスの脳内ミクログリア、およびプリオン感染脳抽出液存在下で培養したCB-MSCsの培養上清で刺激されたプリオン感染マウス脳由来ミクログリアの活性化状態を定量RT-PCRにより解析した。CD68, IL-1bなどの炎症性ミクログリアのマーカー遺伝子の発現が低下し、Arg-1などの抗炎症性ミクログリアのマーカー遺伝子の発現が上昇した。従って、CB-MSCsはミクログリアの活性化状態をM1タイプの炎症促進性からM2タイプの組織修復・神経保護性にシフトさせる可能性が示唆された。
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