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2016 Fiscal Year Research-status Report

ラジカル特異的反応性を利用した新規NO蛍光プローブの開発

Research Project

Project/Area Number 16K15144
Research InstitutionNagoya City University

Principal Investigator

中川 秀彦  名古屋市立大学, 大学院薬学研究科, 教授 (80281674)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2018-03-31
Keywordsケミカルバイオロジー / 一酸化窒素 / 蛍光プローブ / ニトロン
Outline of Annual Research Achievements

一酸化窒素は、多様な生理機能に関与する細胞情報メディエーターである。い方、生体内は大気より低い酸素分圧となっており、組織や部位・病態などによって酸素分圧が異なることも明らかになりつつある。一酸化窒素は、酸素との反応性が高いことから、その生体内動態や作用の解析には酸素分圧(酸素濃度)を考慮する必要があるが、現在汎用される一酸化窒素蛍光プローブはほとんどが一酸化窒素の酸化物(ニトロシルカチオン相当)との反応性を利用しており、酸素分圧によって測定結果が影響をうける。本研究では、酸素分圧の影響を受けず、一酸化窒素自体の反応性によって発蛍光型検出を可能とする新規蛍光プローブの開発を目指して研究に着手した。本プローブを開発することで、体内環境を考慮した実態に近い一酸化窒素測定が可能になると考えられる。新規プローブの分子設計として、一酸化窒素自身と特異的に反応することが知られているニトロニルニトロキシド構造を利用し、この構造と蛍光団であるクマリン色素をリンカーを介して結合させた分子を考案し、本化合物を合成・性能評価して、プローブ基本性能検証および最適化を行うこととした。
本年度は、クマリン色素について、ニトロニルニトロキシド構造の置換位置およびリンカーの種類について精査する目的で、置換位置・リンカー構造の組み合わせが異なる種々の候補化合物を合成した。合成した化合物について、試験管内反応により一酸化窒素との反応性を検証した結果、ニトロニルニトロキシドがオレフィンリンカーを介してクマリン環3位に置換した化合物が良好な反応性を示すことが判明した。すなわち、一酸化窒素反応前はクマリン環が蛍光消光しており、反応後顕著な蛍光上昇がみられた。また好気下嫌気下に関わらず検出感度が維持されることがわかり、本化合物は酸素濃度の影響を受けず、一酸化窒素を検出できることが示された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度は、クマリン色素について、ニトロニルニトロキシド構造の置換位置およびリンカーの種類について精査した。クマリン環合成上の理由から、クマリン環3位および4位にニトロニルニトロキシド構造を置換した化合物を種々合成した。また、リンカーについても電子共役を保持する二重結合およびベンゼン環をリンカーとした構造を採用し、置換位置・リンカー構造の組み合わせにより、種々の候補化合物を合成した。合成した化合物について、試験管内反応により一酸化窒素との反応性を検証した結果、ニトロニルニトロキシドがオレフィンリンカーを介してクマリン環3位に置換した化合物が良好な反応性を示すことが判明した。すなわち、一酸化窒素反応前はクマリン環が蛍光消光しており、反応後顕著な蛍光上昇がみられた。所望の基本的性質を有する化合物の取得に成功したことから、順調に進展しているといえる。さらに、汎用される一酸化窒素蛍光プローブであるDAFと本化合物を比較したところ、DAFは嫌気下で検出感度の大幅な低下が見られた一方、開発化合物では好気下嫌気下に関わらず検出感度が維持されることがわかり、本化合物は酸素濃度の影響を受けず、一酸化窒素を検出できることが示された。酸素濃度の影響を受けずに一酸化窒素を検出できたことからも、鍵となる性質の実現に成功しており、概ね順調に進展しているといえる。

Strategy for Future Research Activity

ニトロニルニトロキシド構造はアスコルビン酸で還元され、一酸化窒素と反応できない構造へと変換されることが知られている。このため、本年度に取得した化合物について、アスコルビン酸との反応性を検証し、この反応性が一酸化窒素検出反応に及ぼす影響を評価する。本化合物のニトロニルニトロキシドは、これまでに報告されているニトロニルニトロキシドと同様の構造を有していることから、アスコルビン酸との高い反応性が予想されるため、アスコルビン酸との反応性を低減するための分子設計および化合物合成を行う。合成した化合物についてアスコルビン酸存在下での一酸化窒素検出能を検討し、さらに最適化を行う。アスコルビン酸との反応性低減のため、別のニトロキシド化合物で知られている立体障害の効果を利用する。アスコルビン酸との反応性を低減させた化合物について、培養細胞系での検証を行う。

Causes of Carryover

本年度に行った化合物合成において、分子設計した多様な化合物のうち、比較的初期に合成した化合物において、所望の基本性能を有する化合物が見出されたため、当初合成予定であった化合物の合成を省略し、試験管内性能評価へと展開したことから、使用金額が予定より少額となった。さらに、比較的費用を要すると見込んでいた一酸化窒素検出の性能評価においても、候補化合物が少ない段階で所望の性質が見出されたため、使用金額が予定額より少なくなった。

Expenditure Plan for Carryover Budget

当初使用する予定であった研究費については、比較的困難が予想されるアスコルビン酸耐性を付与する分子設計・合成・性能評価に予定額より多く充当することで、実用性の高い化合物開発を加速させる。

  • Research Products

    (3 results)

All 2016 Other

All Presentation (2 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results) Remarks (1 results)

  • [Presentation] Development of new fluorescent NO probe utilizing the reaction of nitronyl nitroxide2016

    • Author(s)
      Yuya Inukai, Naoya Ieda, Mitsuyasu Kawaguchi, Hidehiko Nakagawa
    • Organizer
      ACS National Meeting
    • Place of Presentation
      Philadelphia
    • Year and Date
      2016-08-21 – 2016-08-25
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] Development of a new photocontrollable HNO donor and cellular application2016

    • Author(s)
      Takuma Tani, Mitsuyasu Kawaguchi, Naoya Ieda, Hidehiko Nakagawa
    • Organizer
      ACS National Meeting
    • Place of Presentation
      Philadelphia
    • Year and Date
      2016-08-21 – 2016-08-25
    • Int'l Joint Research
  • [Remarks] 薬化学|公立大学法人 名古屋市立大学 大学院薬学研究科・薬学部

    • URL

      http://www.nagoya-cu.ac.jp/phar/grad/soyaku/iyaku/yakka.html

URL: 

Published: 2018-01-16  

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