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2017 Fiscal Year Research-status Report

マスト細胞放出亜鉛の創傷治癒における役割解明

Research Project

Project/Area Number 16K15152
Research InstitutionSuzuka University of Medical Science

Principal Investigator

西田 圭吾  鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 准教授 (80360618)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2019-03-31
Keywords亜鉛 / 皮膚創傷治癒 / マスト細胞 / 亜鉛トランスポーター / サイトカイン
Outline of Annual Research Achievements

本研究では、マスト細胞内顆粒に亜鉛が豊富にたくわえられており、刺激によって細胞外に放出されるという観察から、マスト細胞内の顆粒膜に発現する亜鉛トランスポーターを同定し、マスト細胞顆粒内亜鉛及び放出亜鉛を特異的に欠損するマウスを樹立することにより、これらマスト細胞から放出された亜鉛とマスト細胞依存性の創傷治癒における関係を明らかとすることを目的としている。
1960年代に、マスト細胞顆粒内に亜鉛が豊富に存在することが観察されている。また、これら顆粒内に存在する亜鉛が細胞の活性化に伴い細胞外に放出されることも示されている。しかしながら、これらマスト細胞顆粒内亜鉛の役割や放出された亜鉛の生体での特に、創傷治癒に対する影響に関しては不明である。そこで、活性化されたマスト細胞から放出された亜鉛がサイトカインなどのように炎症性メディエーターとして機能し(亜鉛シグナル)、創傷治癒過程の炎症を制御する可能性を考えた。本年度は放出された亜鉛の役割について調べ、亜鉛が免疫担当細胞からのサイトカイン産生調節に関わっていることを示した。樹状細胞、マクロファージ、皮膚線維芽細胞に亜鉛を添加したところサイトカインが時間依存的に産生されることを見出した。また、この亜鉛刺激によるサイトカイン産生は免疫担当細胞に発現している亜鉛受容体GPR39に依存していることが判明した。これらに加え、亜鉛刺激によるサイトカイン産生に至る細胞内シグナル伝達経路も明らかとした。
以上の結果より、放出された亜鉛が免疫担当細胞の亜鉛受容体を介してIL-6, TNFαなどの炎症性サイトカイン産生を調節している新しい亜鉛の役割を明らかにすることができた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度は放出された亜鉛の各免疫担当細胞への影響について解析を実施した。結果、幸いにも下記に示す結果が得られたので、本研究計画は順調に進展しているものと考えている。

①亜鉛は免疫担当細胞に作用し炎症性サイトカインを誘導する:亜鉛添加により、樹状細胞・マクロファージ・皮膚線維芽細胞より時間依存的にサイトカイン(IL-6, TNFα,G-CSF, RANTES)の産生が観察された。また、このサイトカイン産生は転写レベルで制御されていることが示された。これに加え近年、神経系の分野で同定された亜鉛受容体GPR39に着目し、免疫担当細胞で観察された亜鉛刺激によるサイトカイン産生への関与についてsiRNA実験で検証した。GPR39siRNAを導入した細胞では亜鉛刺激によるサイトカインの転写活性が認められなかった。このことから亜鉛刺激によるサイトカイン産生には亜鉛受容体GPR39が関わっていることが判明した。
②亜鉛刺激によるサイトカイン産生には細胞内PKCα-ERK1/2-C/EBPβシグナル伝達経路が関与している:亜鉛刺激によるサイトカイン産生の詳細なメカニズムを解析するために、遺伝子導入が比較的容易な線維芽細胞を用いて、シグナル分子の低分子阻害剤やsiRNAを用いてシグナル伝達経路の解析を実施した。亜鉛受容体GPR39の下流で、セリン・スレオニンキナーゼのPKCαが活性化されていることが判明し、引き続いて生じるERK1/2のリン酸化、IL-6の転写活性化に関与している-C/EBPβが亜鉛刺激によるサイトカインの転写活性化を制御していることを示した。

Strategy for Future Research Activity

本年度までの結果より、亜鉛トランスポーターZnT2依存的なマスト細胞からの放出亜鉛が皮膚線維芽細胞などの炎症性サイトカイン産生を誘導することで、創傷治癒の炎症相を制御している新しい皮膚創傷治癒制御機構を明らかとした。以上の結果を踏まえ最終年度では下記に示す2点について検討を実施する。

①亜鉛欠乏モデルマウスを用いた皮膚創傷治癒の関与
これまで亜鉛が皮膚創傷治癒に関与する可能性について細胞及び分子レベルの解析をノックアウトマウスやsiRNA実験を通して示してきた。今後はより生理的な条件下での亜鉛と皮膚創傷治癒との関係を調べるために、亜鉛欠乏モデルマウスを樹立し、皮膚創傷治癒への影響を解析する。具体的には亜鉛欠乏餌で飼育したマウスの皮膚機能解析やマスト細胞の亜鉛含有量の解析を実施する。これに加えて、亜鉛欠乏モデルマウスに皮膚創傷を施し、創傷治癒過程の詳細な解析を行う。
②褥瘡患者における亜鉛の関与
ヒトにおいても我々のこれまでに示したモデルがあてはまるかどうかについて、褥瘡患者に協力してもらい検証実験を実施する。褥瘡患者の血清中亜鉛を測定し、健常人と比較する。また、創傷部における各種サイトカインの発現パターンに関して、定量的PCRを用いて解析を行う。

Causes of Carryover

理由:年度末に発注した試薬の納期に時間がかかってしまい年度内に納品できなかったため、一部を次年度に繰り越した。

使用計画:必要な試薬の納品は多少遅れたものの、研究計画遂行上、問題は生じない。

  • Research Products

    (7 results)

All 2017

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results,  Open Access: 1 results) Presentation (5 results)

  • [Journal Article] Association between itching and the serum zinc levels in patients with varicose veins2017

    • Author(s)
      Takai Y, Hiramoto K, Nishimura Y, Uchida R, Nishida K and Ooi K
    • Journal Title

      Journal of Pharmaceutical Health Care and Sciences

      Volume: 3 Pages: -

    • DOI

      DOI 10.1186/s40780-017-0092-9

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] Frontiers in Researches of Allergy2017

    • Author(s)
      Nishida K and Kashiwakura JI
    • Journal Title

      YAKUGAKU ZASSHI

      Volume: 137 Pages: 493-494

    • DOI

      DOI: 10.1248/yakushi.16-00239-F

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 亜鉛シグナルによるLPS誘導性のサイトカイン転写制御2017

    • Author(s)
      内田亮太、西田圭吾
    • Organizer
      日本病院薬剤師会東海ブロック・日本薬学会東海支部 合同学術大会2017
  • [Presentation] STAP-2 negatively controls FceRI-mediated mast cell activation2017

    • Author(s)
      Kyosuke Inui, Junichi Kashiwakura, Keigo Nishida, Yuichi Sekine, Kodai Saitoh, Ryuta Muromoto, Yuichi Kitai, Akihiko Yoshimura, Kenji Oritani, Tadashi Matsuda
    • Organizer
      第46回日本免疫学会学術集会
  • [Presentation] 柑橘類「新姫」果実成分の生体機能に及ぼす効果の解析2017

    • Author(s)
      鈴木宏冶、佐藤英介、西田圭吾、西岡淳二
    • Organizer
      第15回 日本機能性食品医用学会 総会
  • [Presentation] L型カルシウムチャネル遮断薬のサイトカイン産生抑制効果2017

    • Author(s)
      内田亮太、西田圭吾
    • Organizer
      第63回 日本薬学会東海支部会総会
  • [Presentation] マスト細胞におけるARFペプチドの抗アレルギー効果の構造活性相関2017

    • Author(s)
      内田亮太、西田圭吾
    • Organizer
      日本薬学会第137年会

URL: 

Published: 2018-12-17  

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