2016 Fiscal Year Research-status Report
2大中枢関門の新規密着結合分子の寄与の解明と多発性硬化症の治療標的としての有用性
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16K15475
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
内田 康雄 東北大学, 薬学研究科, 助教 (70583590)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 中枢関門 / 密着結合 / Claudin11 / 多発性硬化症 |
Outline of Annual Research Achievements |
多発性硬化症は中枢の神経障害性疾患である。発症は血液脳関門及び血液脳脊髄液関門の崩壊に起因し、病態の重篤度はこれら関門の崩壊の程度に比例する。多発性硬化症の分子メカニズム解明を目指して、本研究では、先ず中枢関門の密着結合に関わる新規分子を探索することを目的とした。脳毛細血管内皮細胞のタンパク試料をトリプシン消化し、LC-MS/MSを用いて密着結合関連分子の発現解析を行った結果、Claudin11を新規分子として発見した。一方で、免疫組織学的染色解析においてClaudin11の発現はげっ歯類の血液脳関門には観察されなかった。すなわち、これまでのげっ歯類中心の研究では発見できなかったヒト特異的な分子を発見することに成功した。また、siRNAによるknockdown解析によって、ヒト脳毛細血管内皮細胞株(hCMEC/D3細胞)においてClaudin11が密着結合の形成に寄与する傾向が示された。また、LC-MS/MSを用いたタンパク質絶対定量解析によって、ヒトの血液脳関門や血液脳脊髄液関門において他分子に比べてClaudin11タンパク質が高発現することを解明した。さらに、血液と脊髄液を隔てる関門組織におけるClaudin11のタンパク質発現を明らかにした。Accell siRNAの投与条件を検討することによって、ラットの脊髄液内にAccell siRNAを投与することで関門組織の一部のClaudin11の発現を低下させることができる条件を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画通り、Claudin11の発現量と関与を示すことができ、Accell siRNAによるノックダウン条件の検討、を完了したため。
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Strategy for Future Research Activity |
脊髄液関門におけるClaudin11の関与の有無を解析し、Claudin11と多発性硬化症の関係性を調査することによって本研究の目的達成を目指します。
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Research Products
(4 results)