2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K15484
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
今居 譲 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 先任准教授 (30321730)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / 創薬 / スクリーニング / ドーパミン神経 / パーキンソン病 |
Outline of Annual Research Achievements |
若年性パーキンソン病原因遺伝子産物Parkinは、ミトコンドリアの品質管理に関与するユビキチンリガーゼである。定常状態では不活性であるが、別の若年性パーキンソン病原因遺伝子産物PINK1によるParkinおよびユビキチンのリン酸化が、Parkinの活性化に関わる。PINK1, Parkinともに機能喪失が起こると、若年性のパーキンソン病を発症することから、Parkinの活性化によるミトコンドリアの健全化が、ドーパミン神経の生存性に重要であると考えられる。 明らかとなったParkin活性化メカニズムに基づいて、Parkinを活性化させる創薬候補化合物の探索を企てた。まず、ルシフェラーゼ活性を指標としてParkinの活性状態をモニターできる細胞スクリーニング系を樹立した。スクリーニングは2通りを計画した。1つめは、20万あまりの化合物ライブラリーから、すでに明らかとなっているParkinの3次元構造に基づくin silicoによるスクリーニング(理化学研究所、東京大学創薬機構との共同研究)を行った。得られた300あまりの候補化合物は、さらに細胞スクリーニング系でスクリーニングを実施した。2つ目は、10万化合物のアンバイアスなスクリーニング(製薬会社との共同研究)を行った。候補化合物の二次スクリーニングとしては、in vitro ユビキチンリガーゼアッセイ、Parkinのミトコンドリア移行効率、Parkin基質のユビキチン化、ミトコンドリア膜電位低下の有無を指標とした。その結果、2つの候補化合物を得た。また、化合物の個体での毒性、脳血液関門への透過性の評価のため、ショウジョウバエ内でParkinの活性化をモニターできる化合物評価系の確立と最適化を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
総計30万あまりの化合物スクリーニングを、1年で首尾良く実施できたことから、概ね計画通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度、化合物の追加入手に時間を要し、中途となっていたショウジョウバエでの化合物評価を引き続き行う。また、Parkin, PINK1遺伝子に変異のあるiPS細胞からドーパミン神経に分化させ、化合物によるミトコンドリア機能の改善を評価する。これらの解析から候補化合物が有用であると認められた場合、化合物の最適化を行う。具体的には、東京大学創薬機構と相談の上、有機合成拠点の協力を得て、経口投与可能でかつ高活性なParkin活性化剤の開発と論文発表に進める。並行して臨床研究へと繋げる準備、もしくはスクリーニング規模の拡大の準備を行う。
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Causes of Carryover |
一次スクリーニングで、想定以上に候補分子が絞り込まれたため、二次スクリーニング以降にかかる試薬、消耗品費、人件費の削減ができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は、化合物評価系にiPS細胞を用いるが、iPS細胞から神経分化にかかるコストが高価であること、培養の実験補助が必要であることから、これらの試薬、人件費に充てる。
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Research Products
(5 results)