2016 Fiscal Year Research-status Report
間葉系ストローマ細胞の細胞分裂制御による機能的人工骨髄ニッチ構築
Project/Area Number |
16K15504
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
滝澤 仁 熊本大学, 国際先端医学研究機構, 特別招聘准教授 (10630866)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 間葉系ストローマ細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
生涯造血を担う骨髄には、血液の源となる造血幹細胞(HSC)の他に、非血液細胞が共存し、HSCの自己複製能と多分化能の維持に関与している。それら骨髄ニッチ細胞の一つ、間葉系ストローマ細胞(MSC)は、試験管内で細胞極性をもって自己複製しつつ、他の骨髄ニッチ細胞への分化能を維持する。その特殊な細胞特性をもつMSCが組織修復や移植制御などの再生医療に有用な細胞ソースとして注目される一方、特異的マーカー及び生体内での細胞機能解析系の欠如から、MSCの細胞階層性、自己複製能および分化能の分子基盤は明らかとなっていない。 本研究では、ヒト骨髄MSCの細胞分裂動態をシングルセルレベルで解析し、細胞機能(自己複製能と分化能)と分子シグナル(遺伝子発現パターンと細胞内シグナルカスケード)を指標に、MSCの分化階層性と自己複製能の分子基盤を理解する。さらに、細胞内または環境シグナルを修飾することで自己複製と分化を人為的に制御し、造血幹細胞の自己複製分裂を促進する機能的人工骨髄ニッチの構築を目指す。 これまでの成果として、ヒト間葉系ストローマ細胞を試験管内および免疫不全マウス生体内で分化誘導することにより作出したヒト造血組織において、自己複製能と多分化能をもつヒト造血幹細胞のをより非分裂の状態に維持出来ることを示した(論文リバイス中)。これらの結果は、ヒト間葉系ストローマ細胞より再構築されるヒト骨髄組織は実際のヒト骨髄微小環境(ニッチ)を機能的に再現しており、ヒト造血を研究する上で非常に強力な前臨床実験モデルになりうることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では、初年度で間葉系ストローマ細胞に特異的なマーカーを決定し、細胞濃縮を進めるであったが、現時点では細胞濃縮は20%程度であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
120人以上の健常人骨髄の機能評価を行い、ヒト造血組織に分化しやすいドナーと分化しにくいドナーがあることに気づき、ドナー間差異が軟骨分化能をもつある細胞集団の頻度が造血組織の効率を規定しているという興味深い手がかりを既に得ている。これらのドナー差異を利用して、間葉系ストローマ細胞の濃縮を進める。同時に、RNAシークエンスにより間葉系ストローマ細胞特異的マーカーの検索を行い、シングルセルレベルで自己複製能の評価を行う。
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Causes of Carryover |
熊本地震のため研究が停滞したため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度の研究の遅れを取り戻すために人材投入にかかる人件費と実験推進にかかる消耗品購入に予算を当てる。
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Research Products
(1 results)