2017 Fiscal Year Annual Research Report
A non-invasive tool for detecting pancreatic tumor-bearing murine odor by C. elegans
Project/Area Number |
16K15591
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川本 弘一 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教(常勤) (30432470)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江口 英利 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (90542118)
西田 尚弘 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (50588118)
今野 雅允 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座講師 (80618207)
小関 準 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教(常勤) (20616669)
石井 秀始 大阪大学, 医学系研究科, 特任教授(常勤) (10280736)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 膵癌 / 早期診断 / 線虫 / 嗅覚レセプター / スクリーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
消化器癌の中で最も予後不良な膵癌に対する挑戦的萌芽研究として、「匂い」を科学する斬新な技術により早期膵癌を廉価かつ簡便に診断する方法を開発研究する。協働研究者の広津らの報告によると、線虫も近年の探索的研究により癌を診断可能(N-NOSE法)であることが示されている(PlosOne 2015)。N-NOSEはヒトの尿検体を用いてアッセイされたため、マウスモデルにおいても同様の走行性を呈するか否かについてはこれまで報告されていないのが現状である。本研究では大阪大学消化器外科が中心となって収集を進めている膵癌症例の体液(唾液、尿、血清)を線虫の匂いのシステムに乗せてその有効性を科学的に検討するのが目的となる。 現在までに膵腫瘍自然発生モデルマウスとして知られるKRASG12D変異マウスの実験群の尿を希釈し、N-NOSEのマウスモデルにおける再現性を解析した。その結果、マウス尿に対しても走行性を示す傾向が得られた(協働研究者広津らによる解析)。また、c-Metノックアウトマウスの尿においても同様の解析を施行したが、線虫に対する走行性に有意差を認めなかった。これは癌遺伝子に変異がある場合に線虫がこの遺伝子変異を感知可能であることを示唆する。 本年度は、膵腫瘍自然発生モデルマウスの尿を用いても、N-NOSE法による再現性を確認するために追加の走行性アッセイを施行し、再現性を確認した。ここまでの知見を英文論文化し、現在論文投稿準備中である。さらに、マウスモデルでも解析可能であれば、様々な病期の膵癌の臨床検体を用いて病期別での感度および特異度を解析する。膵癌における正確度がある一定以上のレベルであれば、最終的に早期膵癌に対する感度と特異度を確認し、既存のマーカーと廉価性について検討する。また、本研究により、マウスモデルでも癌の臭いに対し走行性を呈することが確認されたので、将来的には、嗅覚物質の同定も可能であることが示唆される。
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